2014年07月22日
7月13日の滋賀県知事選挙での敗北は、政権与党の自民党・公明党には、「想定外」のことであったようである。しかも、同選挙投票日の前後に実施された世論調査では、安倍内閣支持率が急落していることを示すおまけまでついた。
7月11日から滋賀県知事選挙投票日の7月13日までの3日間に実施されたNHK世論調査では、内閣支持率が6月調査から5ポイント下がって、47%と、第2次安倍内閣発足後、初めて50%を下回り、「支持しない」と答えた人は6ポイント上がって38%であったとのことだ。
滋賀県知事選挙の結果が出た翌日を含む7月11日から14日に実施された時事通信の世論調査では、内閣支持率は前月比6・4ポイント減の44・6%と、NHK調査の結果よりも低位となっている。不支持率も、前月比8・1ポイント増の34・6%に跳ね上がっている。
内閣支持率・不支持率の急変よりも更に興味深いのは、NHK世論調査で、6つの政策課題を挙げて、国が今、最も力を入れて取り組むべきだと思うことを聞いたことに対し、「社会保障制度の見直し」が23%、「景気対策」が20%、「原発への対応」が15%、「東日本大震災からの復興」が12%、「外交・安全保障」が11%、「財政再建」が9%と、回答したということだ。
また、安倍内閣の経済政策について尋ねたところ、「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が51%、「あまり評価しない」が29%、「まったく評価しない」が9%、景気回復に関しては、「感じる」が15%、「感じない」が45%、「どちらともいえない」が36%とのことであった。
要するに、国民の大多数は、社会保障、景気、原発などの国民生活の現在と将来に密着した課題に最も関心があり、景気の悪化に歯止めがかかったという意味では、安倍内閣の経済政策をある程度は評価するが、景気が良くなった実感は、ほとんどないということだろう。
日本国民の大多数は、安倍内閣の「大本営発表」が示唆するのとは異なる方向を向き、異なる意識を持っているといえるのではないか。
では、どうしたら良いのか。通常の回答は、「景気対策」であろう。
しかし、市場経済の下では、常に景気が良いというわけには行かない。
個人のレベルでは、日々消費する食料、光熱費などの消費水準は、景気の良し悪しに関わらず大きく変化しないが、耐久消費財の購入、住宅投資などの水準が大きく変動することは不可避である。
企業レベルでは、生産能力の拡大のための設備投資の水準も、永遠に右肩上がりの増大を続けるわけには行かない。販売できる以上の生産能力を持っても意味がないので、行き過ぎを回避するために設備投資を抑制・削減せざるを得ない時期が来るのは必然である。
そうなると、設備投資に関連した業界・企業は、一気に不況に落ち込むわけである。場合によっては、企業倒産で経営者は破綻、従業員も失業に追い込まれる。
企業活動、経済活動の行き過ぎで生ずる様々な不均衡の拡大を是正するためという意味では、倒産、不景気も、市場機構に備わった自律的な「調整機能」、「必要悪」に過ぎないということもできよう。
しかし、生産にあずからなければ、
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