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パブリックコメントはガス抜き以下、政府全体で改革を急げ~厚労省の具体例で考察する~

石川和男 NPO法人社会保障経済研究所代表

 「パブリックコメント制度」()と呼ばれるものがある。国の行政機関は、政策を実施していく上で様々な政令や省令、各種の基準や指針を定める。これら政省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民の皆様から意見や情報を募集する手続がパブリックコメント制度(意見公募手続)、通称“パブコメ”である。原発を含むエネルギー政策や特定秘密保護法をめぐっても実施された。

http://www.e-gov.go.jp/help/about_pb.html

 パブコメは、国の行政機関が政省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としている。この制度を活用して政府に対して意見を出した人は、これまでどれほどいるだろうか?

 厚生労働省健康局が、高齢者の肺炎球菌感染症について定期の予防接種の対象疾病にする等のため、予防接種法施行令の改正を行うこととなった。本年10月1日の施行を前にして、厚労省はパブリックコメントを実施した(※1)。
※1:http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140049&Mode=0

 本件は、5月8~10日に掲載された拙稿『「健康寿命延伸社会」への険しい道』(上)(中)(下)で述べたテーマに関連するものだ。そこで私は、厚労省の政令改正案に対して別紙の通りの意見を提出した。結果は7月2日に公表された(※2)。
※2:http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000115060

 このパブコメに関する厚労省の公募要領(※1)では、「意見提出上の留意事項」として、「提出されました御意見は、取りまとめの上、電子政府の総合窓口【e-Gov】(http://www.e-gov.go.jp)の「パブリックコメント欄」に掲載するほか、厚生労働省健康局結核感染症課において配付いたします」とは書かれている。

 しかし、パブコメとして提出した意見が政令改正案に反映するかどうかの判断基準などが開示されるとは書いていない。提出意見に対する厚労省当局の「考え方」(※2)が示されただけだ。では実際、提出意見に対して厚労省当局からはどのような「考え方」が示されたか、見ていきたい。

 別紙が私の意見の全文であるが、それについて“要約”のような形で書き直されている。例えば、水痘について16個の意見を一つにまとめており(※2のp3)、或いは、肺炎について9個の意見を一つにまとめ(※2のp4)一つにまとめている。

 ところが、このように複数の意見を“要約”してしまうと、その過程においてパブコメ提出者各人の提出意見にあった文言が変わってしまうことがある。即ち例えば、水痘に関する16個の意見が全て同じ趣旨の質問であったかどうかは知りようがなく、確かめようもない。

 さらに、もう一つ。私の提出意見には、 ・・・続きを読む
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筆者

石川和男

石川和男(いしかわ・かずお) NPO法人社会保障経済研究所代表

1965年福岡生まれ、1984年東京大学、1989年通商産業省(現経済産業省)。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、中小企業庁、産業政策局、商務情報政策局、大臣官房などを歴任し、2007年退官。2008年以降、内閣官房・国家公務員制度改革推進本部事務局企画官、内閣府・規制改革会議WG委員、内閣府・行政刷新会議WG委員、専修大学客員教授、政策研究大学院大学客員教授、東京財団上席研究員などを歴任。現在は、NPO法人社会保障経済研究所代表、霞が関政策総研主宰、日本介護ベンチャー協会顧問など。

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