2014年08月13日
7月末の各紙報道は、2014年上半期(1-6月期)の自動車トップ3の世界自動車販売台数速報を報じ、トヨタ自動車が3年連続の首位を確保したものの、独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の猛追を受けている状況に焦点が当てられています。つまり、世界首位交代の日が迫っているのです。
自動車メーカーは販売台数規模を争うことが経営の目的ではありませんが、この交代劇の意味するところは何なのであるのかを考えてみましょう。
2014年1~6月期の世界3強の世界販売台数は、トップのトヨタ自動車が509.7万台(前年比3.8%増)、2位のフォルクスワーゲン(VW)が506.6万台(同5.6%増)、3位のゼネラルモーターズ(GM)が492.1万台となり、その差は僅かに3万台と際どく詰まってきています。
8月5日にトヨタ自動車は2014暦年の世界販売計画を1,033万台から1,022万台に下方修正を発表しています。VWの勢いに変化がなければ、2014年で首位逆転が起こることは濃厚な情勢です。
近著「トヨタ対VW」の中で、筆者は「中国市場の拡大基調に際立った変化がないかぎり、2015年頃にVWがトヨタに並び、2020年に向けて規模格差は拡大する公算」と指摘しましたが、どうやらこの逆転劇は予想よりも1年早く起こりそうです。
世界自動車販売ランキングで、初めて欧州メーカーが首位に躍り出ることは、自動車産業の国際競争力の地殻変動を映す重大な出来事ととらえる必要があるのです。グローバル自動車産業の競争優位に大きな転換を引き起こすことは、1999年代に欧州連合(EU)を形成して以来の欧州自動車産業の戦略が結実した証でもあります。
周知の通り、欧州は自動車産業の発祥の地であり、
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