2014年08月14日
迎え撃つトヨタ自動車はどのようなスタンスに立っているのでしょうか。
持続的な成長とは何かを模索中であるトヨタ自動車にとって、世界販売順位争いの報道などは迷惑な雑音にしか過ぎないでしょう。会社の危機を救うべく2009年に社長に就任した豊田章男社長の基本戦略は、成長戦略から台数追求を排除し、前人未到の1,000万台を超える企業規模から持続的成長を支える真の競争力の構築を目指しています。
2000年代の慢心した経営の反省に立ち、意図的に成長速度を緩めるブレーキを踏みこんでいるのです。規模や台数を成長の「ものさし」からはずし、人づくりに応じた「屋久杉の様な年輪を重ねる経営」を心得るということです。
2012年から3年間の「新工場建設凍結」はその象徴でもあります。先人が築いた財務基盤におごることなく、知恵を絞って効率化を追求し、最後まで新工場建設を安易に決定しないという精神です。
しかし、生産能力増強投資を避けてきたトヨタの現有能力1,000万台の稼働率はほぼ100%に近づき、台数成長の鈍化は避けられない時期が迫ってきています。一方、VWは2018年までに1,300万台体制へ35%、実に約350万台の能力増強投資を実施中です。中国市場の大膨張を取り込むVWが新たな業界のリーダーに躍り出るシナリオは濃厚なのです。
最近発表された4-6月期の決算発表において、トヨタは台数世界トップを維持、更に業績は過去最高益を更新する好結果を生みだしており、同期間に収益踊り場に喘いだVW、GMに対して独り勝ちの様相を呈しています。メディアの論調に楽観論も漂い、危険な風潮だと感じます。
足元のトヨタの売上高や販売台数は既に成長力を失い始めており、
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