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「もったいない」はグローバルなCSR課題

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 みなさんは以下のファクトをご存知だろうか。

1)日本の食品ロス(年間最大800万トン)は実に、世界の食料援助量の2倍。

2)その量は、日本のコメ収穫量(2012)約850万トンに匹敵する。

3)日本では、手付かずのまま廃棄される食品がたくさんある。
(いずれも農水省食品産業環境対策室資料から)

 どうして、このようなことを書き始めたかというと、最近、「フードバンク」のことを取材し始めたからだ。

 米国では、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、企業などから受けて、生活困窮者などに配給する「フードバンク」という団体がある。

 日本でのフードバンクの草分けは、セカンドハーベスト・ジャパン(略称2HJ)。本部はJR秋葉原駅とJR浅草橋駅の間にある。マクジルトン・チャールズ理事長は「米国発祥のフードバンクを日本でも広めたい」と、ライフワークとして取り組む。

 チャールズさんは日本に留学して東京・山谷に住んだ経験から、貧困対策に関心を深めた。そして2000年ごろから生活困窮者のために食料を集める活動を開始。2002年3月に現在の団体を設立した。

 2HJは、メーカーや流通業から受け取った食品や農産物を、児童養護施設や生活困窮者らに配布している。全国にはこのようなフードバンク団体が大小含めて40あり、うちセカンドハーベスト・ジャパン・アライアンスの加入団体が東北、名古屋、関西など11ある。

 フードバンクに食品が送られる理由は、賞味期限が短くなったり、包装などに何らかの問題があって販売ができなかったり、だ。もちろん、「消費期限切れ」「賞味期限切れ」の商品をフードバンクが受け取ることはない。2HJでは今年2600トンの食品を配布する予定だが、まだ配りたい食品が足りない。

 もらって有り難い食品の筆頭は「コメ」だという。日本人の主食であるし、ムダが出にくい。賞味期限が存在しないため、少々古いコメでも、精米しなおせば食べられるからだ。

 その次は、「野菜」だそうだ。一般的に、生活困窮者ほど野菜の摂取量が少なくなり、栄養バランスが崩れて、体調を壊しやすい。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると「収入と野菜の摂取量には相関関係がある」という。

 よくレタスやキャベツの産地で豊作になり過ぎ、大量に廃棄するというニュースが流れる。こうした野菜こそフードバンクに送られるべきものと思うが、実際は、農家が野菜を廃棄すると農協から補償金が出るため、残念なことにフードバンクには送られることは少ない。

 2HJの井出留美広報室長によると「米国では、余剰農産物を国が買い取り、困窮者のために使うという法律がある。カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクでは取り扱い食品の半分以上が野菜」だという。

 フードバンクにとって、缶詰、レトルト食品、乾麺など保存が利く食品も、もらってうれしい存在だ。生活困窮者は電気・ガス、水道を止められているケースも多いので、封を切っただけで食べられる食品はとても喜ばれる。

 企業では最近、食糧・水の備蓄が増えているが、 ・・・ログインして読む
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筆者

森摂

森摂(もり・せつ) ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

環境とCSRと志のビジネス情報誌「オルタナ」編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。 流通経済部などを経て1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2002年9月退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を設立、代表に就任。2006年9月、株式会社オルタナ設立、編集長に就任、現在に至る。主な著書に『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年10月)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年3 月)。

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