2014年08月19日
日本経済はマイナス6・8%成長、ユーロ圏経済はゼロ成長。2014年第2四半期の両地域の実質国内総生産(GDP)成長率(四半期別・前期比・年率換算・季節調整済)だ。
堅調とされる米国経済でも、今年第1四半期のマイナス2・1%が、第2四半期のプラス4・0%で辛うじて相殺されただけだ。低率の経済成長が続いているのは、日本やユーロ圏などの他の先進経済圏と同様である。
日本経済が消費税率引き上げ前の駆け込み需要増大の反動で、今年第2四半期が大幅なマイナス成長に落ち込んだことは、大きな国際的な反響を呼んだ。同四半期の実質GDPの水準は、昨年の同期の水準を割り込んでしまった。
冷静に振り返れば、今年の第1四半期の駆け込み需要の増大を除けば、昨年第2四半期以降の実質GDPは、ほぼ同じ水準で低迷して来たのが、日本政府自身の推計が示す日本経済の実態なのだ。
ここで重要なのは、日本経済の低迷が、ユーロ圏経済、米国経済の低迷と並行して起きていることである。
このような事態に直面し、最近の欧州、米国の論説には、「政策当局者は何とかしろ」と、絶叫調とも言えるものも散見できるようになっている。
代表的なは、欧州を代表する金融経済紙の一つであるイギリス・ロンドン市のフィナンシャル・タイムズ紙。ユーロ圏経済がゼロ成長を記録したとの推計が、欧州連合統計局から公表された8月14日に掲げた社説、「Europe now needs full-blown QE・・・ECB must take bold moves to lift growth across eurozone(今の欧州は、大規模な量的緩和政策が必要・・・欧州中央銀行は、ユーロ圏の経済成長率を引き上げるために、大胆に動かなければならない)」だった。
もう一つは、同じ日に大西洋を西に渡った米国・ニューヨーク市のニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるポール・クルーグマン氏が掲げた「The Forever Slump(万年不況)」という所論だろう。
量的緩和政策が、日本や米国の経験に照らして、早急に経済成長率を引き上げるには必要かつ十分な条件を満たすものであるか否かは、見解が分かれる。
重要なのは、7年前のサブプライム危機勃発直後には、不埒な金融機関の救済にもつながる積極的な金融政策には、道義上の問題があると指摘して、難色を示す論説を掲げていたフィナンシャル・タイムズ紙でさえも、大きく変わらざるを得なくなった最近7年の金融経済情勢の変化である。
クルーグマン氏も、フィナンシャル・タイムズ紙もかつて、
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