2014年08月28日
日本銀行総裁が、自ら、金融政策で物価を2%にまで引き上げると言っているにもかからず、人口が減少しているからデフレになるという議論は、今でも影響力があるようだ。人口デフレ説は誤りだと、すでに何人かのエコノミストが指摘しているが、私としてはその決定版を作ったつもりなので、読者の方々にご説明したい。
人口が減るのは需要減少要因だが、労働力も減るのだから供給減少要因でもある。需給どちらの要因が強いかは、一般には分からない。
図1は物価と実質GDPの関係を示す総需要曲線と総供給曲線を示したものである。初期値の物価はP0である。人口増加によって需要と供給が増えれば、総需要曲線と総供給曲線の両方が右にシフトする。図では、結果として物価がP1に上がるように書いてあるが、人口増加は両曲線とも右にシフトさせる要因であるので、結果として物価がどうなるかは分からない。
図2(1)(3)は、OECD加盟国の(1)1990-2000年と(3)2000-2012年の人口増加率と消費者物価上昇率(いずれも年平均の上昇率)との関係を示したものである。もし人口減少がデフレの要因であれば、各国を表す点は右上がりに並ぶはずだが、点はバラバラに並んでいて、何の関係も示さない。
スロベニア、ポーランド、ハンガリーのように人口増加率が低くてインフレ率が高い国もあれば、トルコのように人口増加率が高くてインフレ率が高い国もある。この「関係がない」という関係は、1990-2000年でも2000-2012年でも変わらない。同じような図は、何人かのエコノミストが示しているが、次の図は誰も示していないと思う。その意味で、私は本稿が決定版だと思っている。
図2(2)(4)は、人口増加率から生産年齢人口(20-64歳人口、国連の統計では15-64歳人口を生産年齢人口としているが、教育年限の長い先進国では20-64歳人口が現実的と考えてそうしている。15-64歳人口と定義しても、
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