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代ゼミの大規模縮小-「日々是決戦」は経営に貫徹されたか

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

代々木ゼミナール小倉校=北九州市小倉北区 拡大代々木ゼミナール小倉校=北九州市小倉北区

 かつて、駿台予備校、河合塾とともに、三大予備校と呼ばれた代々木ゼミナールを経営する学校法人高宮学園が、同ゼミナールの首都圏のほか、仙台(宮城県)、浜松(静岡県)、京都、神戸(兵庫県)、岡山、広島、小倉(福岡県)、熊本などの地方校を廃止して、本部校(渋谷区)、札幌校、新潟校、名古屋校、大阪南校、福岡校、造形学校(渋谷区)の7校に集約することなどが明らかになった。

 昭和世代のおじさんには、浪人のほろ苦い思い出とともに、時代の変化を感じるニュースとなった。筆者も1980年、代々木ゼミナールで、多久弘一先生による漢文などを受講していた。多久先生は教壇を軽やかに動き、受講生を元気に刺激してくれる先生だった。校舎内には、「日々是決戦」との 檄文が掲げられていたと記憶している。

 代々木ゼミナールが得意とする私立大学文系の不人気、少子化の時代の影響としてまとめられる報道やコメントがあるが、設置基準、許認可などと参入障壁が高く、補助金にも支えられる大学でさえ、教育産業にアウトソーシングするなど、インターンシップや資格指導などキャリア科目を正課教育に導入し、「就職予備校」や「カルチャーセンター」化と批判されるほど変化している。

人口減少は経営危機の言い訳にならない

 日本においては過去20~30年間、少子化や人口減少は不可避の経営環境である。少子化はエクスキューズには使えない。このままでは、代々木ゼミナールは、経営改革の遅れを示すケーススタディーとなりかねない。輸出型の製造業や、国内でも運送業など費用の中でエネルギー価格の割合が高い産業は、急激な国際経済の変化を受けやすい。このことで突然、変化や淘汰にさらされる。教育産業など内需型の非製造業、代々木ゼミナールのように、業歴が長く不動産など資産がある法人や企業であればコスト削減でも何年かは、生きながらえる。この過去の遺産による延命によって、経営改革が遅れてしまう危険性を内包している。

 大学受験のマクロ経済は、需要サイドは少子化で学生数が減少し、供給サイドでは、短期大学の転換などで大学は増加し、その結果、大学全入時代が到来している。経営面では、学習塾や予備校は個人事業者でも参入できる。会社方式ならば、許認可もなく、自社ビルなど不要で設備投資も低く、参入障壁が低い。少子化の中でも、経営努力は「日々是決戦」だった。大学受験は原則として、年一回の入学を目指す競争で、そのために毎日学習を継続しろと励まされる。経営の競争はまさに「日々是決戦」である。

 代々木ゼミナールが競争に加わる教育産業には、大量の顧客情報問題で注目されたベネッセコーポレーションのように、乳児から社会人、そして高齢者までを顧客層とし、時代の変化に即して業態を変えてきた企業も少なくない。新規株式上場で資金調達とともに、経営の透明度を向上させ、

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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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