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1カ月で100億円集めた「アイスバケツ」に学ぶ3つのこと

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 「アイスバケツ・チャレンジ」が7月の終わりごろから世界中の注目を集めた。ご存知の通り、全身の筋肉が萎縮し動かなくなる難病ALSの患者を支援しようと、氷水をかぶって寄付を募る活動だ。

ビル・ゲイツ、レディ・ガガ、豊田章夫…有名人が続々

 指名された人物はチャレンジを受ける場合、氷水をかぶる、または100ドルをALS協会に寄付する、あるいはその両方を行うのいずれかを24時間以内に選択しなければならない。そして新たに3人を指名する仕組みだ。

氷水をかぶる歌手のレディー・ガガさん=ユーチューブから 氷水をかぶる歌手のレディー・ガガさん=ユーチューブから

 ビル・ゲイツ・マイクロソフト創業者やレディ・ガガさん、日本では豊田章夫・トヨタ自動車社長や京都大学の山中伸弥教授らも参加し、その映像はテレビニュースでも数多く取り上げられ、世の中の大きな話題を集めた。

 ただ、日本国内では「氷水をかぶることは単なる『社会貢献ごっこ』に過ぎない」という批判や、有名人や企業が自らの宣伝や『売名』のために参加しているだけで ALS 治療への貢献にはつながっていないという批判も出た。

押し付けがましさなどに批判も

 確かに、「アイスバケツ・チャレンジ」のような悪ふざけ的な乗りは、日本で受け入れにくいのかも知れない。「新たに3人を指名しなければいけない」という押し付けがましさにも反発が出た。テレビのニュースもだんだん冷ややかになり、「死亡した人もいる」とか「けが人も出たから気を付けて」と言い出した。

 それでも、「アイスバケツ・チャレンジ」を見習うべき、3つの理由があると考える。

 第一にその「成果」だ。この運動はほとんどコストを掛けずに、わずか1カ月という短期間で巨額の寄付を集めたのだ。米国のALS協会は8月29日、集まった寄付金が1億ドル(103億円強)に達したと発表した。

 日本ALS協会(東京・千代田)にも、

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