2014年09月23日
文明、国家の栄枯盛衰は、余りにも目まぐるしい。
つい先週、イギリス(連合王国)では、スッコトランドの分離・独立が、スコットランドの住民投票で辛うじて否決された。しかし、接戦が予想されて、キャメロン首相以下の与野党の指導者が、独立を回避するために、スコットランドの自主性を大幅に認める約束を連発した。その具体化をめぐって、早くも揉めているのが英国の現状だ。
そのイギリスが、大英帝国として世界史上最大の版図を誇ったのは1922年と、現在から百年も遡らない最近のことに過ぎない。同年にアイルランドが、同島北部を除いて、アイルランド自由国として、イギリスから分離したのが、大英帝国解体の始まりと言えよう。スペインの無敵艦隊を破ったエリザベス一世女王時代から、三百年余りもかけて最大版図に拡大した大英帝国も、分解するのには半世紀も要しなかった。
繫栄の絶頂では、永遠に続くと、当該帝国の内外の大方の人々から思われている場合でも、思わぬ落とし穴に転落し、急速な衰亡をたどることがあるものである。
そのイギリスにとっての落とし穴は、欧州大陸問題に首を突っ込み過ぎたことであったと言えよう。ナポレオン戦争後のイギリスは、孤立主義と言われようと、欧州大陸の魑魅魍魎に首を突っ込むことは出来るだけ避け、「栄誉ある孤立」を誇っていた。しかし、ドイツ・欧州大陸問題に関与した結果の2度の世界大戦に勝利したが、大英帝国は失う破目になった。
大英帝国の後を継いだはずの米国も、明確な戦勝は、第2次世界大戦が最後で、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争と、負け戦の連続である。
オバマ政権下では、米国はイラク戦争から足抜けし、アフガニスタン戦争への介入も、今年末には終了するはずであった。
重要なのは、今世紀に入って、米国がアフガニスタン戦争、イラク戦争にかまけている間に、中国経済、他の新興経済の大躍進で、世界の経済バランスが大きく変わってしまったことである。したがって、新興経済勢力に対抗するためにも、
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