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次の世界金融危機、日本発か新興国発か

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 我々は忘れやすい動物である。「100年に一度」と指摘されたサブプライムローン危機、つまり米国発の世界金融危機から世界の中央銀行は金融緩和で協調した。少なくとも先進国は異次元や超が付く金融緩和を続けている。現在進行形なのである。

主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終え、記者会見する麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はる・ひこ)総裁=2014年10月10日、ワシントン、青山直篤撮影 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終え、記者会見する麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はる・ひこ)総裁=2014年10月10日、ワシントン、青山直篤撮影

 日本銀行は国債のほか、ファンドを通じた株式や不動産の購入をも金融政策のツールとして活用している。欧州中央銀行(ECB)は今年6月、マイナス金利を導入したばかりである。金融危機の震源地、米国では2012年9月以来、3回目の量的緩和を継続している。

 目下の国際金融市場の関心事は、米国の連邦準備制度(FRB)がいつ量的緩和(QE3)を終了させるかではない。量的緩和で拡大し投資(投機)を支えてきた過剰流動性資金が、金融・資本市場をどの程度、調整させうるかだろう。そして次の金融危機につながらないかどうかである。

 1997年のアジア通貨危機を経験したアジアの通貨当局は、市場を信奉する学者から過度であると批判されたくらい外貨準備高を積み上げた。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ノルウェー、ロシアなど産油国とともに米ドルをはじめとする外貨準備高を積み上げ、世界規模の国際収支では、大幅な経常収支赤字、財政赤字の米国をファイナンスする構造になった。

 金融や国際収支の不均衡の拡大は、グローバルインバランスと呼ばれた。さらに、マレーシアや中国は短期的な資本移動に規制をかけることで、

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