2014年10月31日
日本経済が高度成長を遂げていたときには、日本が他の国とは異なっているから、日本の成長力が高いのだという議論が流行っていた。日本的雇用、日本独自の高貯蓄率、企業系列、金融系列、産業政策、さらには金融護送船団行政等々までである。しかし、安定成長期はともかく、90年代の以降の低成長を通じて、それらの議論は色あせてしまった。
世界には、日本経済と先進国経済と発展途上国経済と共産主義経済とアルゼンチン経済があると言われていたのはウソのようだ。つまり、工業化に成功した国と発展途上にあると言われながら実は途上にない国と共産主義の国と資本主義の法則に従わず独自に発展した日本と先進国から後退して途上国になったアルゼンチンがあるという訳だ。
今になってみると、日本経済を特徴付けていたこれらの制度がなぜ成長率を高めるのか、説明するのは難しい。日本的雇用を誇っていた大企業が、それを自ら止めたくてしかたがない。追い出し部屋を作って、なんとか人を辞めさせようとしているという状況なのだから。
昔は、高度成長しているのは日本しかなかったから、日本が違うことをしているから、それが日本の高度成長の原因ではないかと、一瞬思われた。しかし、今では高度成長している国はいくらでもあり、それぞれが大きく異なっている。香港とシンガポールは、どちらも日本より豊かで、日本より成長率も高いが、その政策、制度は大きく異なっている。
台湾、韓国は、一人当たり購買力平価GDPでは、日本とほぼ同じで、日本より成長率が高いが、やはりかなり異なっている。中国も現在の水準は低いが、その成長率は極めて高い。そしてもちろん、他の高成長の国と中国とも大きく異なっている。すなわち、
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