2014年11月12日
今世紀に入って「未曽有」の高騰を示していた米国の株式相場が、一転して大暴落したことは2度あった。2000年春以降の局面と、2007年夏以降の局面である。
株式価格が過大に評価され、いわゆる「バブル」になっているかを図る一つの尺度は、企業株式の時価の総計である時価総額と、実際の経済活動の水準を計る国内総生産(GDP、付加価値総計)の水準との比率(%)の推移を眺めて見ることである。
掲載した参考グラフ(1)を御覧になれば明瞭であるが、この比率は、2000年第1四半期には204%、2007年第2四半期・第3四半期には183%、最近の2014年第2四半期には207%にもなっている。
2000年春以降は、いわゆる「ドットコム・バブル」の破裂、2007年夏以降は、「サブプライム危機」の勃発から始まり、2008年秋以降のリーマンショックへ至る株式相場の大暴落に至ったわけであった。
問題は、米国の企業株式時価総額のGDPに対する比率が、上記のように、今年第2四半期には既に、今世紀に入ってからの2度のピークの水準を明瞭に上回る水準にまで吊り上げっていることである。
最近の過去2回の経験に照らせば、今次の3度目のピークから、急激な下り坂に入っても、何ら不思議ではないと言えよう。要するに、米国発の株価大暴落が、いつ起きても不思議ではない状況下にあると言える。
現実に、今年初めから、米国金融当局が、量的緩和政策の段階的手仕舞いを始めると、「ラッセル2000」などに代表される小型株・成長株の株価水準の低迷が始まり、量的緩和政策の段階的手仕舞いが大きく進捗した今年7月以降には、大型株の株価水準が非常に不安定になった。量的緩和の完了が確認された9月下旬以降には、米国の株式市場の不安定性は更に増すことになった。
翻って見れば、米国の中央銀行による量的緩和政策は、
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