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金融政策だけの限界露呈、放たれぬアベノミクス第二、第三の矢

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 日本銀行は去る10月31日再び金融緩和に踏み切り、長期国債の買い入れを年内80兆円、ETF買入れを年内3兆円、そしてリート買入れを900億円に増額した。

果たしてアベノミクスの行方は――。一連の日程を終え、豪州から帰国し、政府専用機を降りる安倍晋三首相。後方は麻生太郎財務相=2014年11月17日午後4時28分、羽田空港果たしてアベノミクスの行方は――。一連の日程を終え、豪州から帰国し、政府専用機を降りる安倍晋三首相。後方は麻生太郎財務相=2014年11月17日午後4時28分、羽田空港
 市場に予期されていなかったサプライズ追加緩和で、黒田総裁主導の政策だと考えられる。日銀政策委員会での賛否は5対4。日銀総裁、副総裁の3票を除くと、他の審議委員の賛成は2票と反対の4票を下回っている。

 市場はこのサプライズ緩和を好感し、日経平均株価は1万5000円台から急上昇し、11月14日朝には年初来高値の1万7520円をつけている。また、安倍晋三首相が2015年10月1日の消費税の10%への増税を延期する意向を固めたと伝えられたことも、当面、市場には歓迎されているようだ。

 いわゆるアベノミックスは、金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢からなっているとされているが、実際に発動されているのは金融政策のみだ。2013年の黒田東彦日本銀行総裁の任命と総裁の「異次元金融緩和」は大きな効果をもたらし、

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