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 「対話」の重要性を最初に気付かせてくれたのは、弊誌『オルタナ』の創刊以来、連載をいただいている作家の田口ランディさんだ。

 数年前、「対話をするから」と、湯河原の旅館に誘われた。行ってみると、浴衣姿の男女が10人近く。名刺を交換したところ、東電や東芝の現役社員や大学の先生らだった。

 テーマは原子力発電の是非。といっても、原発事故が起きる2年以上前のことだ。今のような対立ムードはなく、なごやかに酒を酌み交わしながら、本音のトークが始まった。

 「原子力発電所で、現場のモラルが下がっているのが気になる」。ある東電社員がぼそりとつぶやいたことが脳裏に残っている。

 この夜の議論に結論は無かった。対話だから、その場所に集まり、同じテーマで話し合うことが最大の目的だったのだろう。

 そんなことを思い出したのは11月3日に、興味深い二つのセッションに参加したからだ。

 一つ目は午前10時からの「山北と横浜をつなぐフューチャーセッション/木のある暮らしを考えよう!」。横浜・馬車道駅近くの「mass×mass関内フューチャーセンター」で開かれた。

 関内イノベーションイニシアティブ株式会社(横浜市中区、治田友香社長)が運営するコワーキング&コラボレーションスペースだ。

 この対話セッションでは、神奈川県の西端にある山北町と、東端の横浜市中区を結び、山北町の間伐材をどうすれば都会で活かせるかを話し合った。

 山北町森林組合の池谷和美代表理事専務が「間伐排出の助成金に頼っていては、本来の林業が育たない」と警鐘を鳴らした。天然住宅を主宰する相根昭典さんは「建築の世界と、森の世界は分断されている。これをつながないと日本の林業に未来はない」と続けた。

 このセッションでは建築家やデザイナーやジャーナリスト、市民らが集まり、 ・・・ログインして読む
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筆者

森摂

森摂(もり・せつ) ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

環境とCSRと志のビジネス情報誌「オルタナ」編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。 流通経済部などを経て1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2002年9月退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を設立、代表に就任。2006年9月、株式会社オルタナ設立、編集長に就任、現在に至る。主な著書に『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年10月)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年3 月)。

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