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詳細な積算資料「なし」とは!――温室ガス削減目標、どうやってつくったの?

小森敦司 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

 じゃあ、どうやって目標をつくったの?――安倍内閣は2013年11月、2020年までの日本の温室効果ガスの削減目標をとして「05年比3.8%減」を決めた。筆者はそれをどう出したのかを知りたいと、その積算資料を資源エネルギー庁に情報公開請求をしたのだが、エネ庁は「ない」との「結論」を出してきた。「3.8%減」は原発比率が定まってないためあくまで暫定目標ではあるが、国際交渉にも使う大事なものだ。それでいいのか。

 「05年比3.8%減」を決めた当時の新聞記事を読むと、「現実的かつ野心的な削減目標を策定する」(当時の石原伸晃環境相)という環境省の考えを踏まえて設定した、とある。原発比率が定まっていないとはいえ、それを脇に置いても、かなり精緻な積算をして、この数値を決めたはずだ、と筆者は思った。

 それで今年1月、環境省に対して、その積算資料を出してほしいと情報公開請求したのだが、開示されたのは、昨年6月にとりまとめられた、新しい成長戦略「日本再興戦略-JAPAN is BACK」と関連資料ぐらいだった。担当課は「これ以上は資源エネルギー庁で」というので、改めて今年3月、資源エネルギー庁に情報公開請求した。

 エネ庁から、その積算の根拠資料として今年4月、開示されたのが、やはり「日本再興戦略-JAPAN is BACK」とその関連資料だった。発表済みの資料ばかりで、これに開示手数料を払ったのか、と思うと悔しくなった。なにより、そこには「3.8%減」を形作る体系的なデータが出てこないのだ。

 たしかに、「新車販売台数に占める次世代自動車の割合:最大50%」「太陽光:2020年までに発電コスト14円/kWh」「新築住宅・ビルの省エネ基準適合率100%(2020年目途)」など、それらしき記述がある。でも、どうして、それらが「3.8%減」を形作るのか、さっぱりわからない。

 ということで筆者は資源エネルギー庁に異議申し立てをした。「これらの資料では、どうして3.8%減になるのか、まったく不明です。鉄鋼生産量がどれだけというような前提条件もあるはずです。モデル計算はどこ(の研究機関)に頼んだのでしょうか」などと書き込んだ。

 その結果、このほど、 ・・・ログインして読む
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筆者

小森敦司

小森敦司(こもり・あつし) 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

東京都出身。1987年入社。千葉、静岡両支局を経て、名古屋や東京の経済部に勤務、金融や経済産業省を担当。ロンドン特派員も経験し、社内シンクタンク「アジアネットワーク」では地域のエネルギー協力策を研究。現在、エネルギー・環境分野を担当、とくに原発関連の執筆に力を入れている。著書に「資源争奪戦を超えて」「日本はなぜ脱原発できないのか」、共著に「失われた〈20年〉」、「エコ・ウオーズ~低炭素社会への挑戦」。

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