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地球温暖化防止に石油・石炭産出権取引の導入を!

石油・石炭の産出量に制限を設け、二酸化炭素の排出の元を封じ込めよ

小笠原誠治 経済コラムニスト

【ポイント】

(1) 最近、地球温暖化の議論が再び起ころうとしているが、どう考えても内外の政治家たちには本気度が感じられない。その最大の理由は、二酸化炭素の排出量を世界的に規制しようとしても先進国側と途上国側の妥協が見込めないからである。
(2) 地球温暖化のリスクの深刻さを十分認識し、温暖化を食い止める決意を固めることが先決である。
(3) 解決策があるとすれば、石油・石炭の産出量に制限を設け、二酸化炭素の排出の元を封じ込めるしかない。
(4) 国連などの国際機関が、石油・石炭産出権について取り決めを行い、そのうえで石油・石炭の産出権を高値で買い取った産出国のみが石油、石炭の産出を許されることとすれば、二酸化炭素の排出量は完全にコントロールされ、温暖化の進展を阻止することが可能になる。

はじめに

 異常気象が頻発する昨今、皆さんは、地球温暖化についてどのように感じているだろうか?

 地球が温暖化しているなどというのは嘘っぱちだという議論があるのは承知している。また、そうした懐疑的な意見の持ち主をテレビに登場させることが一時流行りもした。

 私はそうした懐疑論には与しないものの、温暖化の議論が間違っているとしたら、その方がむしろ我々にとってありがたい。

 では、実際に温暖化は進展していないのだろうか? しかし、だとしたら1時間当たりの雨量が100ミリにも達するような大雨がこうも頻発化するのは何故なのだろうか?

 私は、どう考えても温暖化は進展しつつあるものと認識し、そのうえで温暖化をどうしたら食い止めることができるかを以前から考えてきた。本稿では、その私の考えを提案させていただく。

地球温暖化のリスクの深刻さ

 よく地球温暖化と言えば、気温の上昇に伴い南極や北極などの氷が融け、その結果起こる海面上昇が取り上げられることが多いが、実は温暖化の恐ろしさはそれだけではない。

 私が、一番恐れているのは、異常気象の頻発化、つまり、大型の台風の発生や、暴風、竜巻、集中豪雨、さらには干ばつなどが発生易くなることと、生態系の破壊、つまり、地球上の生物のなかには、気温の上昇等にともなう環境の変化に適応できずに絶滅してしまうものがいるであろうということだ。現に沖縄などではサンゴが死滅し始めているではないか。

 私は科学者ではないので温暖化の影響について詳述することは避けるが、昨今の、特に集中豪雨等の頻発化を考えれば如何に地球温暖化の影響が恐ろしいかが分かるはずである。

これまでの温暖化対策

 しかし、それにも拘わらず政治家たちは温暖化対策に本腰を入れようとはしない。なぜなのか?

 その答えを理解するためには、世界の国々が温暖化にどう向かってきたかをみる必要がある。

 ご承知のように、我々人間は、各国にそれぞれ排出量の限度を課し、そうすることによって世界中の国々が排出する年間の二酸化炭素の量をコントロールしようとしてきた。

 しかし、この方法は失敗したと言ってもいい。それは、いくら日本や欧州勢が犠牲的な精神を発揮し自国に厳しい排出限度を課しても、最も大口の排出国である中国と米国が限度枠を受け入れようとしなかったからだ。

 そして、そうやって最も排出量の多い中国と米国がいわば野放し状態になっているので他の国々は諦めに近い状態になり…加えて、欧米では住宅バブルが崩壊するなど経済問題が浮上したために、近年、地球温暖化対策は忘れ去られたような状態になったのである。

 では、仮に今後世界の景気がまた回復したとして、そのときに有効な温暖化対策を打ち立てることができるのであろうか?

 答えは、残念ながら、その可能性はほとんどない。中国や米国が妥協するとは思えないからである。そんなことは少し考えれば分かる。例えば中国で今現在、どれだけ環境汚染が発生しているのだろうか。あれだけの大気汚染が発生しているのに…つまり多くの人々の健康と生命に危険が差し迫っているのに、経済重視の姿勢を改めようとしないのが中国なのだ。

 これらのことを考えれば、中国や米国を説き伏せて二酸化炭素の排出限度枠を飲ませるなどということが不可能なことくらいは容易に想像がつく。

 結局、そうなると、例えば日本だけが排出限度枠を受け入れたとしても、ほとんど意味のないこととなりだけだ。だから政治家たちはこの問題にお手上げ状態になっているとも考えられるのだ。

 しかし、だからと言って温暖化対策について何も講じないとすれば、既に述べたような温暖化のリスクが顕在化するばかりで、 ・・・ログインして読む
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筆者

小笠原誠治

小笠原誠治(おがさわら・せいじ) 経済コラムニスト

経済コラムニスト。1953年長崎県生まれ。1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。 以降、執筆活動に従事する。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、「ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)、「それでもアベノミクスがダメな理由」(Yahoo! JAPAN)がある。

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