2014年11月14日
――それで財政再建はどうなりますか。
僕は消費税を30%までに引き上げるのは現実的に無理だと思います。先ほどお話したように消費税には逆進性の問題があって、若い人や所得の少ない人がより一層困ってしまいます。
本来、所得再分配は豊かな人から困っている人に配るのがスジなのに、消費税の引き上げによって困っている人が余計困ってしまうような本末転倒の事態になっています。
しかも、本来であればこれまで国債でファイナンスされていた社会保障支出が消費税増税による税収増でまかなわれるはずですから、結果として債務残高が減るはずなのに、そうはなっていない。したがって財政再建にも寄与していないんです。
5%から8%へ消費税率を引き上げる際も同じでしたが、消費税増税を当て込んで概算要求は青天井。消費税増税の悪影響を抑制するために行われた経済対策5・5兆円は、使い切れなかった剰余金や成長によって税収が増えた分で捻出されました。加えて、消費税増税の悪影響が深刻であると事前に予想された2014年4~6月期には、下支えの効果を果たすことすらできなかった。まったく政府は何をやっているのか。
社会保障の財源という観点でも財政再建という観点でも、まったく寄与しておらず、入った分を使い放題使ってしまう。
財政再建を進めるには名目GDP成長率を引き上げないと難しい。そのためにはデフレが持続する環境から脱して政府・日銀が目指す2%のインフレ率(消費税増税による影響を除いたベース)を持続的・安定的に達成する中で、生産や雇用が増え、経済の好循環が生じる状況にすることがまず大切です。
次に無駄な支出を減らすことも重要。そのうえで増税というのであれば、学習院大学の鈴木亘教授が提案されているような、現行の相続税を廃止して社会保障財源に充てることを目的とした新型相続税を創設することも一案です。新型相続税のメリットは、消費税とは異なり、
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