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「スカウト型」就活というパラダイムの転換

学生と企業が出会う際の負荷の問題を軽減していくために

常見陽平 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

 就活を変えよう――。「黙っていても企業の側から内定がふってくる」という世界観を作れないか。そんな模索が始まっている。

2016年度就活は、繰り下げになったのか?

 2016年度の新卒採用は事実上始まりつつある。ご存知の通り、今年度から就活時期は繰り下げになっており、現在の大学3年生からは、採用広報活動は2015年の3月から、選考は8月からになる。文部科学省による調査でも94%の企業が対応すると回答している。

 とはいえ、建前と本音は別だ。実際は「採用活動のようなもの」は始まっているのである。

 インターンシップの実施企業は増加しており、大学3年の夏だけでなく、秋も冬も盛んになっている。大学では、業界研究セミナーという名のもと、企業による事実上の会社説明会は行われている。業界説明と言いつつも、実際には、その企業の立場から論じざるを得ない。これに対しては、文部科学省もお墨付きを与えている。

 大学職員や外部の講師が行う就活対策講座も始まっている。「絶対にネットに書くな」と学生に釘をさした上での、先輩社員との交流会なども実施されている。この企画を実施しているのは、東証一部上場企業である。

 もちろん、これらのものは「採用活動ではない」「就活とは関係ない」という言い訳が可能ではある。個人情報を取得するわけでもない。ただ、どこまでが就活、採用活動なのかということを、具体的に説明することもまた困難ではないか。

 もっとも全ての学生が踊らされているわけではなく、まだ活動を始めていない多くの普通の学生がいることも事実だ。これも大事な論点で、今回のスケジュール変更を真に受けている学生と、そうではない学生で分化していくと言えるだろう。

選ばれる学生、大学とそうではない学生、大学への分化

 これは、大学についてもほぼ同様なことがいえる。選ばれる学生、大学と、そうではない学生、大学に分化する。就活時期繰り下げで学業阻害が避けられると喜んだ学生、大学教職員はよっぽど牧歌的な人だと言えるだろう。皮肉なことに、大学関係者から出ていた要望をもとに実現した就活時期繰り下げは、学生、大学への選別の通告になってしまったのだ。

 我が国における就活の歴史は、常に時期論争とフライングの繰り返しだ。そのたびに学業阻害だという批判が起こるが、同じようなことが繰り返される。

 なぜ、就活はいつも早期化するのか。就活をあまり知らない人の視点で言うと、 ・・・ログインして読む
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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみ・ようへい) 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

人材コンサルタント。株式会社クオリティ・オブ・ライフ フェロー。HR総合調査研究所客員研究員。実践女子大学・白百合女子大学・武蔵野美術大学非常勤講師。北海道札幌市出身。一橋大学卒業後、株式会社リクルート入社。とらばーゆ編集部、トヨタ自動車との合弁会社などを経て、玩具メーカーに移り新卒採用を担当。2009年株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。2012年に退社し、フェロー。就活、サラリーマンの今後をメインテーマに講演、執筆、研究・調査、コンサルティングなどに注力し、面白い社会人をデビューさせるべく奮闘中。著書に『「就社志向」の研究』、『普通に働け』など多数。最新刊に『アラフォー男子の憂鬱』(共著)

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