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第5回 中野剛志・評論家(下)

グローバル化は国民にいいことなし、公共投資の拡大と累進課税の強化を

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 ――新自由主義的考え方が悪いと?

中野剛志氏拡大中野剛志氏

 国家財政は民間企業と逆のことをやってバランスをとればいいのですから、いま企業が投資しないでため込んでいるのであれば、逆のことをやらないと経済は縮んでしまいます。80年代初頭、新自由主義の考え方の旗色がよかったのは、米国も英国もみんなインフレで苦しんでいたからです。日本はデフレなので、その逆をやらないといけないんです。デフレのときは税収は減っていくので財政赤字は拡大する。財政赤字はデフレの結果なのです。

 ――では財務省は典型的なオオカミ少年ですか。

 そうですね。2002年にムーディーズなど格付け会社3社が日本国債を格下げした際に財務省は抗議したのですが、そのとき財務省は「日本国債は自国通貨建てなのでデフォルトはありえない」と言っている。そう抗議した当時の財務官は今の日銀総裁の黒田さんです。

 ――では、いま安倍政権が、デフレ脱却のために金融緩和と財政拡大をして、ついには消費税を延期したというのは総じて正しい施策ですか。

 総じて正しいと思います。私はスティグリッツと考え方があうのですが、一番重要なのは量的緩和と財政出動のセットなのですが、そのなかでも一番大事なのは財政出動ということなのです。公共投資は即効性がありますが、それに限らず減税でもいいです。減税をするならば、投資したら減税する投資減税がいいですね。単なる法人税減税だと、減税したぶんが内部留保に回ってしまいますから。

 公共投資と量的緩和は両方ふかすべきですが、では次に何をやるべきなのかというと、新自由主義的な考えに立つ人は規制緩和をいいます。競争促進とか、外国人労働者を入れろとか。ところが、私はそれはやるべきではないと思う。デフレのときには需要が不足して供給が過剰なので、働く人の賃金をあげるには供給不足にしないといけないはずです。だから外国人労働者を入れるべきではないんです。

 デフレのときに、無理に生産性を上げてはいけない。需要不足のときに何も供給を促進する施策をとる必要はない。人手不足が生じそうなのは、むしろ賃金を上げるチャンスです。

 グローバル化がいいわけでもない。企業にとってグローバル化や国際競争力の強化というのは、

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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。ジャーナリスト・ノンフィクション作家。88年、朝日新聞社入社。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』、『東芝の悲劇』がある。近著に『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』。取材班の一員でかかわったものに『ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相』などがある。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。レコ漁りと音楽酒場探訪が趣味。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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