早急な原因究明と日本ブランドの「安心」と「高品質」の再構築を
2014年12月09日
タカタ製インフレーターを装着するエアバッグのリコールの問題が急展開を見せ、全米規模に拡大に拡大するだけに留まらず、日本を含め世界各地域へ拡大を始めた。
問題は単なる部品の品質を超えて、高品質で安心な日本ブランドを毀損する国内自動車産業の国際競争力に影響を及ぼす事態に発展しかねない。問題本質を理解し、解決策への道筋を論考してみよう。
GMの巨大なリコールと隠ぺい体質に米国メディアと国民の怒りが頂点に差しかかっていた今年春、各自動車メーカーのエアバッグに装着されるタカタのエアバッグ問題は炸裂を始めた。そして、その感情は12月3日の米下院議会の公聴会でピークに達した感がある。
2009年5月のミシシッピー州、アシュリー・パーハムが運転する2001年モデルの「アコード」が事故の際に作動したエアバッグがさく裂、金属片が頸動脈を切断し死亡した事件を発端に、タカタ製インフレ―タの異常炸裂が強く認知され、最終的に巨大なリコール問題へと拡大し始めた。
ホンダは2004年に初めてインフレ―ターの異常炸裂を認識しているが、実際に不具合の存在を理解し、リコール対策に漕ぎ着けたのは2008年11月と遅きに失した。パーハムの事故を契機に、タカタの製造管理・品質問題が一気に表面化し、リコールが相次いだのだ。
今年に入り米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が多湿地域で複数の自動車メーカーで異常炸裂が起こることを問題視し、原因追及を目的とした調査リコールを地域限定で要請したところから問題は大きく複雑化する。これが最大のポイントとなっている「多湿地域」での原因不明の問題であり、12月3日の米下院議会の公聴会ではこれを全州に拡大させることが最大の論争になった。
12月3日の米下院公聴会で、タカタは自社による全米規模のリコールを拒否した結果、米国メディアから厳しい批判にさらされている。「欠陥の調査を未終了の段階での要請に当惑する」と科学的な原則論を貫いたタカタにも一理はあるのだが、多湿でないノースキャロライナ州で問題が発生している以上、科学的な因果関係が不明な段階においても、積極的にリコールせよというのが政治家の論調だ。
一方、ホンダは調査リコールを全州に拡大すると表明し、他社もこれに追随する方向を示した。原則論よりも、ホンダは問題解決を急ぎ、
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