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「ELITE DAILY」が若者に大人気の理由

ジェネレーションYの特性踏まえ、短く理解しやすい記事を多彩に展開

茂木崇 ニューヨーク・メディア文化研究者

 「ジェネレーションYのための『The Huffington Post』(ハフィントンポスト)」とも「ミレニアル世代のための『The Huffington Post』」とも言われるサイトが米国で人気を博している。その名も「ELITE DAILY(エリート・デイリー)」(http://elitedaily.com)。2012年にスタートし、瞬く間に成長した。

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 同サイトのチーフ・ストラテジー・オフィサーであるミゲル・バーガー・カルデロンに、その編集方針や経営などについて話を聞いた。

読者を励まし、希望をもてるように

 「読者を励まし、希望をもてるようにする記事を数多く掲載している」――。カルデロンはそう強調する。

 ELITE DAILYは、「ジェネレーションY」とも「ミレニアル」とも呼ばれる、1980年から2000年にかけて生まれた世代に訴える多彩な記事を掲載している。例えば、

・フェイスブックで知り合いの女性がまた婚約したと知って思う45のこと
http://elitedaily.com/life/engaged-on-facebook/876245/

・次々やってくる請求書-20代のうちに達成すべき5つのお金のゴール
http://elitedaily.com/life/5-money-goals-conquer-20s/861683/

 など、広くライフスタイルやカルチャーについての記事が多いが、

・私たちは息ができない-私はニューヨークでデモ参加者とともに行進した
http://elitedaily.com/news/politics/nyc-eric-garner-protests/870632/

といった硬派な記事も掲げている。

「自分たちの世代のメディアがない」と20代の二人が創設

 創設したのは、デイビッド・アラボフとジョナサン・フランシス。2人はともに20代。まさにジェネレーションYである。2人は自分たちの世代のためのメディアがないのに不満を持ち、このサイトを立ち上げた。とはいえ、2人は自分たちが「エリート」だとは考えていない。サイトの名は、毎日見にきてほしいと いう思いから「デイリー」を選択し、さらにGodaddyでドメインを取得するにあたり、「エリート」が10ドルだったので付け加えたのだそうだ。

 ジェネレーションYは、ナルシスティックで、自分の周りの世界にしか興味がなく、国際情勢に関心を持たないと批判されることも少なくない。だが、カルデロンはそうした批判は間違いだとする。

 「国際情勢に関心はあるのだが、ジェネレーションYはADD(Attention Deficit Disorder(注意欠陥障害)の略)世代なので、長々と書かれた記事は読みたくないだけだ」

 このため、国際情勢について取り上げる時は、情勢の推移を簡潔に理解できる記事やスライドショーを掲げ、若い読者に受け入れられるように努力している。

職場を変えてきたジェネレーションY

 カルデロンは、「ジェネレーションYは職場のあり方を変えてきた。フェイスブック、ツイッター、グーグルなどは、大企業になっても、スポーツや遊びなど職場を楽しむ文化を保っている」とも指摘し、この世代の潜在的な可能性を評価する。

 また、ELITE DAILYはリベラルなサイトを自認している。「リベラルとは変化を受け入れることを意味する。すなわち、自分たちより前の世代のものの見方をそのまま受け入れるのではなく、リスクを取って新しいことに挑戦し、これまで正しいと言われてきたことよりもより良いやり方があるのではないかと考えてみることを意味する」

 もちろん、ジェネレーションYの世代の人々が、あらゆる点で意見が一致するとは考えにくい。妊娠中絶の賛否なども割れるだろう。 この点をカルデロンに聞くと、「ELITE DAILYは社会運動ではなく、ジェネレーションYのためのアイデアの市場だと考えている」。イデオロギーや主義主張ではなく、自由なアイデアの流通こそが大切だという認識である。

スタッフは65人、外部からの投稿も

 組織や経営面はどうなっているのか。

 現在のスタップは65人。このうち、5人が編集者、

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筆者

茂木崇

茂木崇(もぎ・たかし) ニューヨーク・メディア文化研究者

東京工芸大学専任講師。1970年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論で、守備範囲はニューヨークの新聞、雑誌、出版、テレビ、デジタルメディア、広告、音楽、ブロードウェイ。共著に『コミュニケーションの政治学』(慶應義塾大学出版会)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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