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STAP騒動、お粗末な科学報道はどうするのか

初報段階の理研発表垂れ流し報道、疑惑を指摘したネットの集合知に追いつけず

団藤保晴 ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者

 STAP細胞騒動は論文作成段階の疑惑を顕在化させず、再現が出来なかった結果だけで幕引きになりつつある。さらに一つ、科学報道としてのお粗末さにマスメディアが向き合う気が無い点も見逃せない大問題である。

STAP細胞の論文が不正と認定された問題で会見する小保方晴子氏=2014年4月9日 拡大STAP細胞の論文が不正と認定された問題で会見する小保方晴子氏=2014年4月9日

 論文がネイチャー誌に掲載された免罪符が有るとはいえ、初報段階の理研発表垂れ流し報道は福島原発事故での「大本営発表」報道そのままであり、当然なされるべき科学的裏付けを確認する取材が各社ともなかった。その結果、ネット社会の集合知がSTAP疑惑をすっぱ抜き、既存メディアが大きく後れを取る無様な事態になってしまった。検証実験結果に関連して20日の各社社説が言っている「自戒」で済ませられる程度の過ちではないと指摘したい。

 1月の発表直後に書かれたNHK解説委員室の《時論公論 「新しい"万能細胞" STAP細胞 可能性と課題」》を見よう。当時から不満であったが、この研究がどのような経緯で生まれたのか、全く書かれていない。ある日突然、小保方晴子氏の頭の中にアイデアが閃いたかのようだ。ハーバード大のバカンティ教授の下に留学して手法を学んだことすら書かれていないのである。

 そのくせ《小保方さんは、趣味はペットとして飼っているカメの世話とショッピング、理科系の女子「リケジョ」の研究成果は、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に掲載されました。STAP細胞は、どんな細胞にもなれる万能性をもっています》との説明が最初に出るのだから、科学の専門記者の仕事かと、我が目を疑った。

 《実験による実証科学では「先行研究群という巨人の肩」に乗って初めて未知の地平が拡大するものです。一人だけで、ある日突然、巨人になることなど無いのです》とは私の第432回「STAP細胞疑惑=小保方ファンタジーの闇を推理する」で強調した研究の常識である。他社と同じようにNHK解説委員記事も ・・・ログインして読む
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筆者

団藤保晴

団藤保晴(だんどう・やすはる) ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者

ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者。2008年まで「ブログ時評」(http://dando.exblog.jp/)を岩波書店の月刊誌「世界」に連載するなど、ネット上の言論活動を続ける。メディアとブログの相互作用をウオッチする「Blog vs. Media時評」のほか、「インターネットで読み解く!」(http://dandoweb.com/)を展開している。

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