野党ばかりでなくメディアも今後に通用する選択肢を示せていない現実
2014年12月26日
2014年の日本経済を振り返ると、名目3%成長を目指すという2年前の総選挙時の自民党公約とは裏腹に、失速が鮮明になった、と言える。GDPは2四半期連続のマイナスであり、これは「不況」の定義にあてはまる。個人消費は低迷し、輸出も数量では伸びていないのも明らかに誤算だろう。
失業率の改善など明るい材料もたしかにあるが、総体的にみればアベノミクスという船は推進力を失ったのも同然である。だがそれにもかかわらず、アベノミクスの継続か否かを安倍首相みずから問いかけ命名した「アベノミクス解散」の結果、自民党は圧勝した。このパラドクスが突き付けるものは何かと言えば、それは「アベノミクスの代案の欠如」ではないだろうか。
野党はそれぞれに「代案はある」というだろうが、残念ながらそれは有権者に伝わらなかったり、信用されなかったりした結果、「この道しかない」と繰り返す安倍首相に比べて訴求力が著しく乏しかったといわざるをえない。
「そろそろ流れを変えなくては」と総選挙で演説した民主党代表・海江田氏の言葉が、民主党の訴えかけの弱々しさを端的に象徴していた。多くの有権者が「どんな代案があるのか」と、民主党に問いたかったはずだ。
そして耳を傾けようとしたが内容は乏しく、「政権についていた時にデフレ脱却策が中途半端だったことの反省もなく、いまもアベノミクスの代案を出せないのか」「まともな代案もない野党にかけるよりも、アベノミクスを継続して様子をみたほうがましではないか」と考えた結果が自民党という「消極的選択」だったように見える。「アベノミクスがうまくいっていない」と考える人の間でも自民党支持が多いという世論調査があったが、
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