すべてを壊したのは消費税率の引き上げだった
2014年12月25日
アベノミクスを批判する声は多い。しかし、アベノミクスの第一の矢と第二の矢、すなわち財政金融政策が大きな効果を発揮したことは、間違いないだろう。景気動向指数の一致指数は、2012年11月に101.6で底をつけたあと、2014年3月の114.6まで、ほぼ一直線で上昇した。
2012年11月というのは野田佳彦前首相が解散総選挙を宣言した月だ。当時から選挙をしたら、民主党が惨敗するということは、皆が分かっていた。自民党に政権が移れば、安倍晋三総裁が総理大臣になる。そうなればアベノミクスが出てくるというので、マーケットが潮の流れを変えたのだ。
アベノミクスは、株価を上げて、金持ちを優遇しただけだという批判もある。しかし、企業倒産が大幅に減り、雇用情勢が改善したという点では、庶民にも大きなメリットがあった。実際に、学生と就職活動の話をしていても、売り手市場とまではいかないが、2012年の悲惨さと比べたら、劇的によくなったことは、事実だ。だから、景気回復の動きを続けていけば、景気回復の恩恵が拡がっていったことは間違いないだろう。
ところが、すべてをぶち壊してしまったのが、消費税率の引き上げだった。景気動向指数でみると、2014年3月の114.6をピークに、2014年8月には108.3まで下落した。その後若干戻して、10月には110.2となったが、それでもピークを大幅に下回っている。
1年前、多くのエコノミストが、「消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動で4~6月期の景気は低迷するが、駆け込み需要で買い込んだ日用品や食材は4~6月期で食い尽くすので、7月以降は消費がV字回復し、日本経済は再び拡大軌道に戻るだろう」と予測した。彼らの予測は完全に外れた。消費の低迷は、
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