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企業業績の見通しからみえてくる景気回復の危うさ

2015年は日本の企業にとっては波乱の年に

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 消費税増税の影響などから今年度の成長率はマイナスとなるが、2015年度は原油安、円安が経済を押し上げると言われている。企業の収益が改善すれば、設備投資や、賃金の引き上げに結びつき、景気の好循環が期待できる。一方で個別企業の業績見通しなどをみると、まだら模様であり順調な回復という印象は受けない。

2015年度の企業の経常利益、10%程度上昇の可能性

 原油安、円安はトータルでみれば経済にとってプラスかもしれないが、マイナスの影響もあり、想定したほどには景気押し上げとならない可能性もある。

ガソリンスタンドの価格表示板は、久しぶりに140円台になった=東京都内拡大ガソリンスタンドの価格表示板は、久しぶりに140円台になった=東京都内

 原油価格は2009年以来の低水準にある。原油価格の10%の低下は、企業の設備投資や個人の実質所得の改善を通じて、GDP成長率を0.6%程度押し上げるとも言われている。これまでは原材料価格の高騰で、円安の恩恵が少なかった中小企業にとっても、原油安は収益の改善に結びつく可能性がある。

 一方、円ドルレートは9月から現時点の期間で約15%円安となっている。円安は回復しつつある輸出を支えるほか、海外業務の比重が高い企業の収益を増加させる。

 原油安、円安などを織り込むと、全産業ベースでの企業の経常利益は、2015年度は10%程度上昇する可能性がある。

 アベノミクスは、一部企業や富裕層しか恩恵を受けていないという批判があるが、企業収益の回復が、設備投資や雇用、賃金の引き上げにつながれば、多くの国民が景気改善のメリットを感じることができる。

 このように、原油の下落と円安が景気の追い風となることが期待されるが、来年の個別企業の業績や信用力動向をみると、必ずしも順調という姿ではない。その理由を大別すると、

(1)内外での需要の低迷

(2)原油安、円安がもたらすマイナス効果

(3)グローバルな経済の不安定さ

があげられる。以下、順を追ってみてみよう。

内外での需要の低迷

 小売りや飲料メーカーなどは、人口減少の下での国内需要の飽和が引き続き業績の改善を制約する。消費税導入や食品の値上げなどから、 ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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