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日本の医療は世界一なのか

医療制度の問題点、今後の改革の方向性をデータにもとづき考えよう

井伊雅子 一橋大学国際・公共政策大学院教授

 日本が抱えるリスクは何でしょうか。何をリスクと考えるかは人によって異なるのですが、私が考える大きなリスクは二つあります。

 それは巨大地震と財政破綻です。巨大地震が発生する場所や日時を予測するのは難しいでしょう。それでも私たちは、いざという時のために自宅に保管できる防災用品を用意したり、家族と連絡方法を確認したりと準備をしています。

 一方で、財政破綻に関しては、予測も対応も地震と比べたらはるかに容易なはずです。そもそも財政破綻が起きないように、現在日本が抱える巨額の財政赤字を減らすために私たちができることは何なのでしょうか。

 日本では政府の財政赤字が増え続けています。このような状況を「財政的児童虐待」と呼びます。ちょっとどきりとする言葉ですが、ボストン大学のコトリコフ教授が命名した経済学の用語です。現役世代が若年層あるいはこれから生まれてくる将来世代に財政負担を押し付けており、日本で生まれた赤ちゃんはすでに数千万円の借金を背負っています。まさに財政的に児童虐待をしているのです。

 多くの国では生まれて来る赤ちゃんも若者も、日本のような巨額の借金を背負っていません。日本は安全で、美味しい食べ物も多く、サービスも良く、本当に住みやすい国です。けれどもこのまま財政赤字が増え続ければ、 ・・・ログインして読む
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筆者

井伊雅子

井伊雅子(いい・まさこ) 一橋大学国際・公共政策大学院教授

一橋大学国際・公共政策大学院教授。国際基督教大学教養学部卒業、ウィスコンシン大学マディソン校経済学部博士課程修了,博士号取得(Ph.D., Economics)、世界銀行、横浜国立大学経済学部助教授、一橋大学国際企業戦略研究科教授を経て2005年から現職。NHK経営委員、政府税制調査会委員。一般向けの小論に「日本の患者は幸せか? —医療経済から見たプライマリ・ケアの重要性—」(藤原書店『環』vol.56, 2014)、「医療の在り方を経済学で模索する」(日経文庫『身近な疑問が解ける経済学』, 2014)

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