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日本経済は第6次平成不況下にあるという事実

景気悪化の現実を直視し、米国経済、世界経済全般の不安定性の増大への備えを

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 2015年、新年明けの東京株式市場、外国為替市場は、文字通りの大荒れである。

 しかし、「景気は・・・緩やかな回復基調が続いている」(日本政府の2014年12月の月例経済報告)、「わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる」(日本銀行の2014年12月の金融経済月報)と、日本の政府、中央銀行は、そろって日本経済は緩やかな回復を続けているという景況判断を示していた(太字化は筆者)。

 筆者が、WEBRONZAの読者に、「データで考える日本の針路42 日本経済はミニ不況(ミニ景気後退期)入り?」と題する論説で、当時の世間の大方の見方とは異なり、日本経済は第6次平成不況に突入しているのではないかという点に注意を喚起したのは、昨年の8月12日のことだ。

 その翌日には、2014年第2四半期(4月~6月期)の経済成長率が、日本政府の公式推計ではマイナスになったことが公表された。昨年11月17日には、同年第3四半期の経済成長率の公式推計値も、第2四半期に引き続いてマイナスとなったことが公表された。

 一般には、2四半期連続のマイナス成長は、景気後退期(不況)入りしたことを示す便宜的な定義とされている。日本政府自身の公式推計値も、景気後退期入りを、実質的に追認したわけだ。

 肝心なのは、景況などの日本経済の現実を、良くも悪くも、愚直かつ誠実に把握しようとする姿勢と努力である。政府の各部門、金融当局が集計している各種統計やデータが、実際には何を物語っているかに、真摯に耳を傾ける姿勢が大切である。その姿勢を欠けば、経済政策などの論議も、事実に基づかない「空論」になろう。

拡大グラフ(1)
拡大グラフ(2)

 第2次世界大戦後の日本経済のGDPに占める製造業の比率は、1970年の36・0%がピークだった。その後は下落を続け、2012年の国民経済計算確報から算出される比率は18・1%にまで低下している。最近では、更に低下していると見込まれる。要するに、ピーク時の半分の水準にまで低下しているのだ。

 しかし、製造業などの「もの作り」が没落したわけではなく、無形のサービスを生産する非製造業の比率が高まるという産業構造の大きな変化が起きているに過ぎない。明治時代初めの日本のように、産業革命前の農業が主体であった社会では典型的に、人口の約8割が農業などの食糧生産に従事していた。しかし、最近の先進経済諸国では、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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