メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ついにゼロ成長、アベノミクスは今や死語!?

所得の分配のあり方が問われている

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 日本政府が最近に公表した公式推計では、2014年の日本経済は、ゼロ成長を記録した。実質GDP(2005年連鎖評価)の水準が、前年比でゼロ%の成長しか見なかったということである。

 四半期別・前期比・年率換算・季節調整済の実質GDPの成長率は、2014年第1四半期には5・5%、第2四半期はマイナス6・7%、第3四半期はマイナス2・3%、第4四半期は2・2%であった。

 同年第2・第3四半期と、2四半期連続のマイナス成長、すなわち、景気後退(不況)の便宜的な定義に当てはまる時期は、形式的には脱した。しかし、2014年度が始まった昨年第2四半期以降の3四半期平均の実質GDPは、前年比でマイナス0・8%を記録している。

 今年第1四半期末までの2014年度全体では、1年余り前に日本政府が策定した経済見通しのプラス1・4%成長とは、話が大きく異なっているのが実状である。

 同じくアベノミクス下であった2013年にも、1・6%の実質経済成長に過ぎなかった。民主党政権下の2012年には1・8%、東日本大震災があった2011年にはマイナス0・5%成長を記録したが、2010年には4・7%と高めの成長率を示していた。

 要するに、不手際な経済政策運営で、政権の座から転落した民主党前政権期よりも芳しくない結果を示したのが、最近2年間余りのアベノミクス下の日本経済の実績であったのである。

 以上のような事情を反映してか、2月12日(木)の安倍首相の施政方針演説(下掲リンクを参照)では、「アベノミクス」という表現は 1度しか使われていなかったことが、各所で指摘されている。アベノミクスという表現は、既に死語となった感があるというわけである。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement2/20150212siseihousin.html

 「成長率」による議論は分かり易いようで、分かり難い。

 そこで、名目GDP(経常価格評価)、実質GDPの生の公式推計値の推移をグラフ化すると、日本経済が置かれた状況が把握しやすい。実質GDPは、サブプライム危機・リーマンショック前の時期の水準を、「アベノミクス」期に入る以前にほぼ回復していたが、名目GDPは依然として大きく下回っているのが、最近の状況である。

拡大

 元々、アベノミクスという言葉に明確な定義が与えられていた訳ではない。「小泉改革期」の円安による輸出振興策に、少々の財政刺激策などを振り掛けた焼き直し版に過ぎない。しかも、声高に唱えられる「改革」を如何に捉えるかは、各々の立場によって大きく異なるのは当然である。

 しかし、

 1.製造業などの第2次産業からサービスなどの第3次産業の比重の飛躍的増大など、日本経済の産業構造の変化、

 2.新興経済圏の台頭など、日本を取り巻く世界経済の変化、

 3.最近の3年間余りのように、世界貿易が低迷している時期に、競争力が低下している 日本の輸出品を世界市場に押し込もうとの無理、

 4.大幅な円安によるエネルギー、原材料、食糧などの輸入コスト増など、

 アベノミクスを待ち受けていた諸事情は、

・・・ログインして読む
(残り:約1604文字/本文:約2919文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

齋藤進の記事

もっと見る