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リフレ政策に反対する民主党は誰の味方か?(上)

意味をなさない「財政ファイナンスを容認」という批判

吉松崇 経済金融アナリスト

 早稲田大学教授の原田泰氏の日銀審議委員就任が2月25日、国会で承認された。WEBRONZAの筆者であり、読者の方にはおなじみだろう。

拡大日銀は大胆な金融緩和を継続するのか

 原田氏は、現日銀副総裁の岩田規久男氏とともに1990年代の初めから大胆な金融緩和を主張し、かつての日銀の金融政策を批判してきた、いわば最古参の「リフレ派」の一人である。安倍政権が原田氏を日銀政策委員に推したということは、現在の日銀の政策である大胆な金融緩和を今後も継続する、というこの政権の明白なメッセージである。

 そして、案の定というか、2年前の日銀総裁・副総裁人事で黒田東彦・岩田規久男両氏に反対票を投じた民主党は、今回の原田氏の人事案でも反対に回った。つまり、民主党は、黒田総裁、岩田副総裁が就任して以来の日銀の金融政策、つまり大胆な量的金融緩和に反対であるとの立場をここで改めて明確にした訳だ。

明らかに成果が出ている量的金融緩和

 安倍政権のこの2年間で、雇用を巡る環境が大きく改善していることは間違いない。

 最新の総務省労働力調査(2015年1月調査:季節調整値)で見ると、2年前と比べて失業率は4.2%から3.6%に改善し、総就業者数も6,289万人から6,374万人へと85万人増えている。さらに特筆すべきなのは、この人口減少社会で労働力人口が6,568万人から6,608万人へと40万人も増えていることである。これは労働市場の改善で就職をあきらめていた人が就職活動を再開し労働参加率が高まった、ということだ。

 かつて多くの人が「ゼロ金利になってしまったのだから、これ以上金融緩和を行っても効果がない」と主張したが、量的金融緩和政策は明らかに成果を生んでいる。

 そうは言っても、「あなたはアベノミクスで景気の回復を実感しますか?」とたずねる世論調査では、「実感しない」という回答が圧倒的に多い。殆どの労働者にとって、賃金が上昇する前に消費税増税の打撃を受けて実質賃金が低下しているのだから、これはある意味当然である。企業収益の改善と賃金の改定の間にはタイム・ラグがある。労働者、とりわけ正規労働者の方々には、今しばらく我慢していただくほかはない。

 一方で、非正規労働者の雇用環境は改善している。有効求人倍率は1.15倍(2014年12月)となり、人手不足に悩む企業の中にはパート・アルバイトの労働者を正規雇用に囲い込もうとする動きすらある。

 もちろん、昨年4月の消費増税がなかったとしたら第2四半期からの景気の腰折れもなかったはずだから、正規労働者の賃金ももっと早く上昇していたかも知れない。しかし、いずれにせよ景気回復の過程では、限界的な労働市場のほうが正規労働者の市場より先に敏感に反応することは容易に理解できる。つまりこれは、市場を通じたワーク・シェアリングである。

 量的金融緩和に頑なに反対する民主党は、いったい誰を味方につけて、誰を敵に回そうというのだろうか? かつての円高時代に時計を巻き戻して、非正規労働者を年越し派遣村に

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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『労働者の味方をやめた世界の左派政党』 (PHP新書、2019年)、『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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