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英BBCと政府のバトルが始まる(下)

ネット時代の公共放送の将来像を求めて

小林恭子 在英ジャーナリスト

会長は「いかなる形でもライセンス料が必要」

 3月2日、BBCの経営陣トップ、トニー・ホール会長(ディレクター・ジェネラル)はBBCの放送センターで「インターネット時代のBBC」と題する演説を行った。BBC内外の聞き手に向けての情報発信で、先の文化・スポーツ・メディア委員会の報告書へのBBC経営陣側の応答でもあった。

拡大24時間、ニュースを生成し、発信するBBCのニュース編集室=ロンドンの放送センター内、Minako Iwatake撮影

 ホール会長は委員会の提言を直接批判するような、あるいは却下するような言い方はしなかった。委員会が「次の王立憲章も10年間であるべき」と提案したことに「勇気付けられた」とさえ表現した。「BBCが独立性を保つために重要」と考えるからだ。

 「ライセンス体制が時代とともに変化するべきだと私たちは述べてきた」、「見逃し番組の放送を視聴する際にもライセンス料を払うべきとする報告書の提案を歓迎する」。報告書が放送税のような形でのライセンス料徴収を提案したことに触れ、「いかなる形でもライセンス料が必要」と述べた。放送税を他局と共有する点については言及がなかった。

 会長は、BBCがネット時代に生き抜くためには組織の「再創造」が必要とし、その形をこのように説明した。

 ネット時代に「情報を見つけるのは簡単だが、それが信頼できるかを判断するのは困難だ」。BBCは「良質の番組を作ることで、すべての人にとって信頼できる案内役」となることを目指す、という。例えばニュースの報道では「正確な事実」、現地で発生する「本当のストーリー」、「深い分析」、「言葉の説明」、「専門記者や現地の記者が送る報道」に重点を置く。

 また、番組の質を高めるため、世界中の制作プロダクションと共同での番組作りに力を入れる。これまでとは違うコンテンツ作り、たとえばモバイル用アプリの制作にさらに投資する。

1人に1人にあったサービスを提供

 昨年から手をつけたのが視聴者のコンテンツ利用のデータを生かし、1人に1人にあったサービスを提供するやり方だ。これを会長は「私のBBC革命」と呼んだ。「誰に何をどのように提供するのが最善か。この点を放送業界で解明した人はまだいない。BBCは先駆けになりたい」。

 例えば、人気歴史ドラマの登場人物とフェミニズムを関連させる番組を作り、

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筆者

小林恭子

小林恭子(こばやし・ぎんこ) 在英ジャーナリスト

秋田県生まれ。1981年、成城大学文芸学部芸術学科卒業(映画専攻)。外資系金融機関勤務後、「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニューズ」)記者・編集者を経て、2002年に渡英。英国や欧州のメディア事情や政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。「新聞研究」(日本新聞協会)、「Galac」(放送批評懇談会)、「メディア展望』(新聞通信調査会)などにメディア評を連載。著書に『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)、『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)。

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