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ミシェル夫人とプリンストン大学のブランド戦略

エリートを輩出するアメリカ一流私立大学の超高額授業料の不思議

吉松崇 経済金融アナリスト

 ミシェル・オバマ米大統領夫人が来日した。女性の教育振興に向けたアメリカ政府の取り組みの一環で、3月19日には、女子学生を前に講演を行い安倍首相夫人の明恵さんも同席した。

拡大日米両政府主催の教育関連行事での懇談会で、参加者の質問に答えるミシェル・オバマ米大統領夫人(左)。右は安倍昭恵・首相夫人=2015年3月19日、東京都港区、井手さゆり撮影

 ミシェル夫人といえば、プリンストン大学を最優等の成績で卒業し、ハーバード大学ロー・スクールに進んだエリート中のエリートである。ファースト・レディーとしてはイェール大学ロー・スクール出身のヒラリー・クリントン氏と並んで、その超高学歴は歴代アメリカ大統領夫人の中でも図抜けている。

 彼女はシカゴ市のサウス・サイドと呼ばれる黒人居住区の決して裕福とは言えない家庭に生まれ、本人の実力だけで道を切り拓いて来た人なので、教育にかける想いが人一倍強いことは容易に理解できる。

 彼女の父親、フレーザー・ロビンソン氏はシカゴ市水道局の職員、母親のマリアンは彼女が高校に入るまでは専業主婦であったという。貧困とまでは言えないが、中流の下といった社会階層の出身である。

べらぼうに高いアメリカ一流私立大学の正規授業料

 アメリカの一流私立大学の授業料が高いことはよく知られている。ミシェル夫人は一体どうやって学費をまかなったのだろうか?

 アメリカの高校生が大学選びに利用することで有名なU.S.ニューズ・アンド・ワールド・レポートの最新の(2014~15年度)アメリカ大学ランキングでアメリカの一流大学の授業料をみてみよう。
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges/rankings/national-universities

 これによると、1位のプリンストン大学が41,820ドル、2位のハーバード大学が43,938ドル、3位のイェール大学が45,800ドル、といった具合である。さらに、このランキングではコロンビア、スタンフォード、シカゴといったいわゆる一流私立大学が続くが、20位に州立大学であるカリフォルニア大学バークレー校がようやく顔を出すまで、1~19位の大学はいずれも私立大学である。

 そしてその授業料はコロンビア大学の51,008ドルを筆頭に、19校全てで40,000ドルを超えている。カリフォルニア大学バークレー校は州立大学であり、これらの私立大学と比べるとその授業料は大幅に安く、13,800ドル(ただし州外からの入学者は25,064ドル)である。

 我々日本人の目から見ると、州立大学のカリフォルニア大学バークレー校に州内から入学する場合でも日本の私立大学の授業料並み、あるいはそれ以上である。ましてや私立大学の授業料はべらぼうに高いように思われる。

 いったい、アメリカの家庭は、一握りのお金持ちを別にすれば、どうやって子弟の学費を工面しているのか不思議だ、というのが率直な感想ではないだろうか。4万~5万ドルというのは、アメリカの中流の家庭にとっては、ほとんど年収と同じレベルだろう。

一流私立大学の本当の授業料は学生の能力次第

 私が最近たまたま目にしたシカゴ大学の大学院生、イアン・フィルモアのブログがアメリカの大学の入学生選抜に関する経済事情を見事に整理している。この人は教育の経済学が専攻であるらしい。以下、このブログに沿って、

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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『労働者の味方をやめた世界の左派政党』 (PHP新書、2019年)、『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

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