男と女、別々の世界があってもよい
2015年03月30日
2016年、全英オープンはロイヤル・トルーンGCのオールドコースで開催される。開催日が近づけば、今度はロイヤル・トルーンGCの女人禁制が集中砲火を浴びるのは避けられないだろう。ただ、ロイヤル・トルーンGCは反論できないわけではない。1882年に設立された由緒ある“男子禁制"のトルーン・レディーズGCが併設されていて、専用のクラブハウスを持っているのだ。
トルーン・レディーズGCの女性会員たちは、2つあるコースのうち比較的やさしいポートランドコース(6289ヤード、パー71)でもっぱらプレーしている(女子ティーからは5818ヤード、パー75)。距離が長く、ラフが生い茂っていて、バンカーが背丈より深いオールドコース(7208ヤード、パー71)でプレーしても楽しめないからだ。
トルーンでは、男と女は別々のゴルフクラブをつくって、130年余にわたってそれぞれにゴルフを楽しんできた。ご当地のご婦人方は、男社会のロイヤル・トルーンGCに入会したいとは思っていないはずである。
リバプールの北にある1884年に設立されたフォームビーGCのチャンピオンコースでプレーしたときのことである。ここにも1896年に設立された“男子禁制"のフォームビー・レディーズGCがあり、独自のコースとクラブハウスを持っている。男女が一緒にプレーするときは、距離が短いとはいえ起伏に富んだ女子コース(5374ヤード、パー71)である。
女性会員は難しいチャンピオンコース(7031ヤード、パー72)には行かず、男性会員が女子コースでプレーしたがるのだという。多くの男性会員は普段チャンピオンコースで痛い目にあっている。時には女子コースをよいスコアで回って気分直しをしたいのだ。男とて歳を重ねれば短い女子コースを好むのは理解できる。
ロイヤル・アバディーンGCは、「ボール探しは5分まで」というルールを初めて採用したことで知られる1780年に設立された由緒ある名門である。ここにも1892年に設立されたアバディーン・レディーズGCが併設されていて、小さいながら風格のあるクラブハウスと短い女子コース(4021ヤード、パー64)を持っている。
女性会員たちはもっぱら女子コースを回っている。とはいえ、年に数回は、ロイヤル・アバディーンGCと共催で、チャンピオンコースにおいて男女混合の競技会を開いている。
あるとき、オノラブルカンパニーでプレーして午餐を済ませ、午後のラウンドをするために1番ホールに向かおうとすると、珍しくひとりの女性ゴルファーがクラブハウスの前でたたずんでいた。挨拶をして言葉を交わすと、午前中に自分のゴルフクラブで女性仲間とプレーしたが、夫から一緒に回ってくれと懇願されたので仕方なくやって来たのだと言う。女性はクラブハウスに立ち入れないので、
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