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中国の「ニューノーマル」と日本経済(下)

環境分野にビジネスチャンス、不確定要素も多くハードルは高い

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

ダウンサイド・シナリオの場合の日本への影響

 中国は日本にとって米国に次ぐ第2の輸出先であり、全体の輸出の26%(2014年)を占めているため(図3)、中国景気の低迷は日本経済にも影響を及ぼす。一方で中国向け輸出は数量ベースで2010年のピーク時からすでに20.1%減少。2012年以降横ばいとなっており、2015年の経済減速が与える追加的な影響はさほど大きくはないと予想している(図4)。

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 ここ数年の輸出品目では、建設用、鉱山用機械や建設素材など投資関連の品目が減少する一方で、スマートフォンやタブレットに関連した半導体電子部品や、労務コスト上昇に対応した省力化用の一般機械、高級車などが増加している。中国の産業構造の変化や富裕層の需要増加に沿って、輸出の構成は変化しつつある。

 海外に事業展開する日本の大手企業は、一般的に拠点を分散させているため、中国国内需要の伸びの鈍化が直接的に業績に与える影響は限定的と考えられる。格付け先企業について言えば、中国で生産や販売が比較的大きい企業の例としてはコマツ、日産、TDK、三菱電機などがある。

 コマツは生産・販売拠点を中国に複数持っている。2014年4月から12月末までの中国における売上高が、同期間の連結売上高に占める割合は約7%となっている。日産は中国の合弁会社を持分法適用会社としているため、売上高ではなく販売台数の構成比でみると、2014年度第3四半期までの全世界の累計販売台数のうち中国での比率が約2割、2013年度は約24%と大きい。TDKは中国に製造拠点を多く有しており、進出している日本の企業や現地企業へ電子部品の供給体制を確立しているため、中国での売上は5割に迫る。また、三菱電機もビルシステムやFA(ファクトリーオートメーション)システムで一定のシェアを中国で有している。

 これらのエクスポージャーの高い企業にとって、中国経済の減速は売り上げや収益にマイナスに働くが、一方で高付加価値商品、高級品などに独自のポジションを持つ場合は、個人の所得水準の上昇や産業の高度化に伴うメリットを受ける可能性もある。

 しかし、中国の成長率が想定を超えて大幅に減速した場合、 ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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