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スマホだけでは誤った固定化された考え方に

限界をわきまえて使う。それができなければ、大学生になる資格がない

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

拡大信州大の入学式であいさつをする山沢清人学長=2015年4月4日午前、長野県松本市美須々の市総合体育館

 信州大学の4月4日の入学式で、山沢清人学長が新入生に、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」と迫った。この発言は大きなニュースになり、ネットの住民からは、大きな非難が巻き起こった。いまやスマホは、学生たちにとって一心同体の道具になっており、それをやめろなどという暴論は許せないというのだ。

 しかし、山沢学長が単純な二者択一を求めたのではないことは、学長発言の前後をみれば、明らかだ。

 以下、引用しよう。

残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。

「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」。スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。

 以上、引用終了。

 本を読み、友人と話し、自分の頭で考えることを習慣づけようというのが、学長の言いたかったことで、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」というのは、関心をひくためのキャッチフレーズに過ぎなかったのだ。

 しかし、このニュースが大きく採り上げられたこと自体が、私はスマホの問題点を浮き彫りにしているのだと思う。スマホは、画面が小さいし、キーボードがないので、サイト自体が機能を大幅に簡略化するように設計されている。だから、ニュースも、ヘッドラインだけが伝えられる。そこに、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」というショッキングな文章だけが現れたら、大きな反発を招くに決まっているのだ。

 私は、学生がスマホを使うのを否定しない。学生が授業中にスマホで分からない言葉を調べても、黒板をスマホで撮っても、それを注意することはない。ただ、ずっと学生に言い続けているのは、原典に当たれというということと、多様な意見に耳を貸せということだ。

 例えば、 ・・・ログインして読む
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筆者

森永卓郎

森永卓郎(もりなが・たくろう) 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

1957年7月生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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