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「スマホと大学生」で考える情報の身体的記憶度

ネットで得た知識は寿命も短く、情報を取捨選択する力のない人にはリスクにも

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 信州大学の学長が入学式で新入生を前に「スマホを辞めるか、学生を辞めるか」と述べたことが大きな話題となっている。趣旨としては、スマホは非生産的な“暇つぶし”のツールに過ぎず、そんなものに血道をあげていたら学業は大成できませんよということらしい。

「SIMフリー」の中古スマホを販売する小売りチェーンも

 (存在が全否定されたわけだから)ネットはほぼ批判と冷笑一色で、FAXや判子の必要性が議論される際と同様、ジェネレーションギャップの一種ととらえる向きも多いようだ。筆者のファーストインプレッションも似たようなものだった。

 ただ、国立大学のトップが単純に「お勉強しいや」という訓辞を垂れるために「さもなくば学生辞めろ」レベルのことを口にするだろうか。というわけで、今回はあえて第一印象にこだわらず、もう少し深く掘り下げてみたい。

 もうさんざん議論されてきたアングルではあるが、ネットは情報の量と質を劇的に向上させてくれる便利なツールだ。たとえば紙の新聞を何紙も買ってきて比較せずとも、社説や主要記事はネットで比較、検討できる。結果、同じ時間で得られる質量ともに飛躍的にアップする。

 本を読むスピードだって節約できる。話題作であればネット上で識者が競うように書評や解説を述べているから、ピケティの大著にしても、エッセンスを吸収するだけなら5分でOKだ。さらに言えば、

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