度を超す低迷ぶりの原因は何か
2015年04月18日
国内男子ツアーが4月16日、三重県で開幕した。女子ツアーに遅れること40日である。
男子ツアーの今季の試合数は国内3増2減、海外2増の27。前季より試合数が増えるのは実に5年ぶり。賞金総額は昨季の32億5364万円から34億7750万円へと増加した。
一方、3月6日に開幕している女子ツアー。今季の試合数は1増1減で、昨季と同じ37を維持し、賞金総額は史上最高の33億3300万円である。男子はやっと国内女子ツアーと肩を並べるところまで回復したというところ。1982年の年間46試合を頂点にした長期低落傾向に歯止めがかかったのだろうか。
米国で先週開催されたばかりの第79回マスターズ・トーナメントでは、21歳の新鋭、ジョーダン・スピースが初日から首位を独走し、完全優勝を成し遂げた。この世界が注目するメジャー大会に、昨季の国内男子ツアー賞金王、小田孔明は出場できなかった。世界ランキング50位以内という出場資格にあと一歩のところで届かなかったのだ。試合数の少ない国内男子ツアーに出場するだけでは世界ランキングを上げるのは難しい。
昨季、小田孔明は25試合に出場し、獲得賞金1億3731万円、平均ストローク70.08。一方、賞金女王、アン・ソンジュは25試合に出場し、獲得賞金1億5307万円、平均ストローク70.13。賞金王は賞金女王に獲得賞金で及ばない。
昨季の年間来場者数を比べると、男子ツアーが38万6千人、女子ツアーが52万8千人。また、日曜日の関東圏でのテレビ放映の平均視聴率を比べると、男子ツアーが5.4%、女子ツアーが6.1%。数字から見ても、男子ツアーの低迷ぶりは明らかである。
海外では、男子ツアーは女子ツアーを圧倒している。例えば、今季の米国男子ツアーの試合数は49で賞金総額は3億2045万ドル (約385億円)、昨季の賞金王ロリー・マキロイの獲得賞金は828万ドル(約10億円)。これに対して、今季の米国女子ツアーの試合数は34で賞金総額は6160万ドル(約74億万円)、昨季の賞金女王ステーシー・ルイスの獲得賞金は254万ドル(約3億円)である。米国では、賞金額においても試合数においても、女子ツアーは男子ツアーの足元にも及ばない。
一昨年、国内男子ツアーの不人気ぶりがあからさまになった。茨城GCで開催された歴史ある日本一の大会、日本オープンゴルフ選手権の延べ来場者数が、首都圏から近い会場なのに9139人にすぎず、NHKによる実況生中継も2.4~4.7%の低視聴率だった。国内男子ツアーの低迷は度を越している。
男子ゴルフ界を牽引して来た石川遼と松山英樹の2人がそろって出場しなかっただけで、日本で最も権威のある大会の入場者数や視聴率がここまで低迷するのは、男子プロの選手層があまりにも薄いからだ。プロ野球界では、ダルビッシュ有や田中将大などの有力選手が米国に流出したからといって観客が激減したという事実はない。
なぜ日本では女子ツアーの人気が高く、男子ツアーは低迷しているだろうか。その一因は、礼儀をわきまえない男子プロの存在である。18番グリーンで選手名が呼び上げられたときに観客の声援を無視したり、プロアマ戦や練習ラウンドでサインを求められても拒否したり、プレー中にタバコを吸ったりする男子プロがいる。
男子プロツアーのプロアマ競技に出場したことがある友人たちの話では、一緒に回った選手の評判は芳しくない。招待客との会話そっちのけで本戦に向けてコースチェックをする不愛想な選手がいるようだ。
女子プロは男子アマチュアと同じティーグラウンドから打つので、ティーショットの待ち時間に会話が盛り上がるし、互いのスウィングを間近に観察できる。ところが、ドライバーの飛距離が平均でも280ヤードを超える男子プロは、
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