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世界的な流動性危機の真実

各国の政策当局者の『想定』を超えるのが常

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 国際通貨基金(IMF)が4月15日、「Global Financial Stability Report」を公表したのをきっかけに、世界的な金融資本市場の動揺による流動性危機の再燃が、世界の経済・金融資本市場関係者の間で大きな話題になっている。米国の金融引き締めの進展、ギリシャ危機の再燃などが背景にある。

欧州中央銀行

 米国連邦制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC、金融政策決定会合)は2014年初めから、量的緩和政策の段階的な手仕舞いを始め、同年10月には、そのプロセスを完了した。世界の経済・金融資本市場関係者の現在の関心は、米国の金融政策当局がその政策金利(フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準)を、いつ引き上げるかに集まっている。

 欧州ではドイツとスロベニアの蔵相が4月25日の声明で、ギリシャの債務問題をめぐり同国のユーロ圏の離脱にまで公然と言及した。債務者であるギリシャ政府と、欧州連合、IMF、欧州中央銀行などの債権団との間で、今年6月末にまで合意が成立しない場合としているが、これまでは離脱に言及すること自体がタブーだったのに、である。

 米国の経済・金融資本市場の関係者はいま、自国の政策金利の引き上げの波及効果と、欧州のギリシャ危機の影響に対して、非常に神経質になっている。これは、2007年半ばからのサブプライム危機、リーマンショックの際の経験が今も生々しく記憶されているからである。

 一方、ユーロ圏離脱にも言及し始めたドイツを筆頭とする欧州側の見方は楽観的である。最悪の事態は十分に想定しており、

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