続く預金の流出、銀行破綻は経済活動に大きな打撃
2015年05月01日
【ポイント】
• ギリシャの財政状況は逼迫しており、市場にはユーロ離脱を予想する向きもある。
• 外国銀行のギリシャ向け与信は縮小しており、またセーフティーネットが強化されているので、他国への影響は少ないという見方が多い。
• しかし、ユーロ離脱となった場合は、ギリシャ経済への打撃は大きく、また地政学リスクが高まる可能性もある。
ギリシャの財政状況は逼迫しており、欧州連合(EU)から救済資金を確保するまでに費やせる時間は少なくなっている。市場ではギリシャがユーロから離脱するという見方も広がっている。
ギリシャのソブリン格付けは2012年に、民間部門が保有するギリシャ国債の再編に伴って、「SD(選択的債務不履行)」となった。しかし2012年のデフォルトはEUの支援下での、秩序あるデフォルトであった。ギリシャが今回債務を履行できなくなった場合にどのような影響が及ぶのか。
国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)など公的機関への支払いは、停止されても格付け会社が定義するデフォルトには該当しない。しかし、仮にEUからの救済資金が途切れて公的機関への支払いが停止されれば、2012年とは異なり、ギリシャ国内でさまざまな影響が波及すると考えられる。政府の資金調達が困難になり、民間向けの債務もデフォルトする蓋然性が高まるとともに、銀行も流動性の逼迫によってデフォルトを引き起こす可能性が高い。
一方で、他国に与える直接の影響はさほど大きくはないだろう。2012年当時に比べて、外国銀行のギリシャ向け与信が減少しているほか、セーフティーネットの強化によってユーロ圏の他の高債務国への波及リスクが抑制されているためだ。ただし、ユーロ離脱は前例がないことであり、市場の反応次第で影響や混乱が広がることもありうる。ギリシャが欧州の火薬庫である状況は続くだろう。
ギリシャ政府は、経済情勢が一段と悪化するなかで、
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