かつて若者の憧れだったゴルフ、今や老人のスポーツ
2015年05月05日
統計で見る限り、ゴルフ界の未来は暗い。総務省が5年ごとに実施している「社会生活基本調査」によれば、1996年に1537万人もあったゴルフ人口(過去1年間にゴルフを行った10歳以上の人数)は年々減り続け、2011年には924万人に減少した。15年間に613万人ものゴルフ人口を失っているのだ。2016年に行われる次回の調査では、さらに一段とゴルフ人口が減っている可能性が高い。
ゴルフ人口の減少だけが問題なのではない。問題の核心は、若い世代のゴルフ人口が激減していることだ。総務省が作成した「年齢階級別ゴルフの行動率」のグラフを見ると衝撃を受ける。1986年に30%であった20代のゴルフ参加率は20%も減少し、今や10%を切っているのだ。かつて若いサラリーマンの憧れであったゴルフは、25年の間にすっかり年寄りのスポーツと化してしまった。
ゴルフ人口の激減にもかかわらずコース来場者数は減っていない。ゴルフ料金が手軽になったこともあり、高度成長期に若くしてゴルフを始めた人々が、今や定年退職してゴルフに励むようになり、ゴルフコースや練習場を潤している。しかし、70歳をすぎれば体力と気力が衰えてゴルフから遠ざかる人が増える。現状のゴルフコースや練習場の賑わいは、ロウソクが燃え尽きる前の輝きのように見える。団塊の世代が全員70歳になるのは4年後の2019年である。現状に甘んじていれば日本のゴルフ界は衰退の道をたどることになる。
2009年、若者のゴルフ離れに危機感を抱いたゴルフ関連10団体が結集し、「日本ジュニアゴルファー育成協議会」を立ち上げた。しかし、その後も若い世代の深刻なゴルフ離れが続いたことからすれば、ジュニアゴルファー育成は目に見える成果を上げていないように見える。その大きな理由は、日本のジュニアゴルファー育成策が、ゴルファーの底辺を拡大するというよりも、トップアマチュアやプロを目指す一部の若者に視点を向けているからだ。
例えば、日本ゴルフ協会(JGA)のウェブサイトにある「ジュニア」の内容を見ると、結局のところ、年会費1000円のJGAジュニア会員を募集しているだけだ。ジュニア会員の数は1万1千人にも及ぶ。JGAジュニア会員の大きな特典は、公式ハンディキャップを取得して日本ジュニア選手権や地区連盟主催のジュニア選手権に参加できることだ。ジュニア会員は全国各地にある69カ所の指定練習場で優待を受けることもできる。
JGAは日本プロゴルフ協会と日本女子プロゴルフ協会の協力を得て、「ジュニアスクール」を開催している。その2013年の実績を見ると、全国の106会場で498名のプロの協力のもと、5680名のジュニアが参加した。
全国8地区のゴルフ連盟ごとの参加者数を見てびっくり! 九州ゴルフ連盟の参加人数が3249名と飛び抜けて多く、全体の57%を占めるのだ。九州や沖縄では昔からジュニア育成が盛んなのだという。九州や沖縄が有名プロを輩出している理由が如実にわかる。
九州ゴルフ連盟と同じ参加率を全国で実現できれば、ジュニアスクールの参加者は4万人を超えることになる。JGAには、九州ゴルフ連盟を見習ってジュニア育成にもっと力を入れるように、他地区のゴルフ連盟に働きかけてほしいものだ。
全日本ゴルフ練習場連盟は、「ジュニアゴルファー登録会員制度」を実施しており、登録会員になると協力練習場で優待を受けて練習できる。ただ、協力練習場の数は限られていて、
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