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[8] 待ったなしジュニアゴルファー育成(下)

若いゴルファーを真剣に育てなければゴルフ界に未来はない

山口信吾 ゴルフ作家

ボランティアによる意欲的なジュニア育成

 ボランティア精神にあふれた人々が全国各地でジュニア育成に積極的に取り組んでいる。

 沖縄県内12コースの支配人会が一致団結して1997年に立ち上げた「沖縄ジュニアゴルファー育成会」が一例である。小学校1年生から高校生までの約40名のジュニア会員が、週に4回、午後5~9時まで2カ所の打ち放し練習場で低価格(10カ月3千円)で指導を受けながら練習し、週に1度はミニゴルフ場でアプローチ、パット、バンカーショットを練習している。

 月に1回開かれる定例競技会では、受付からスタート表の作成、カートの運転、スタート時の諸注意などをジュニア会員の父母が行っている。ゴルフクラブと練習場、レッスンプロと父母がひとつになって、経済的に恵まれないジュニアゴルファーを援助しゴルファーの底辺拡大を図っているのだ。

 大阪府高槻市にある淀川の河川敷を使ったパブリックコースの高槻GCは、中高生を対象に積極的にジュニア育成に取り組んでいる。2回の講習会を受けて打球テストに合格し、5千円の入会金を払ってジュニア会員になれば、練習場を無料で使うことができるうえに、一日わずか500円で18ホールを回ることができる。

 プレー予約はできないが、来場して待機していれば、2~3人で来場した大人の組に入れてもらえる。大人のゴルファーは喜んでジュニアゴルファーと一緒に回ってくれるのだという。エチケットやルールを孫のようなジュニアゴルファーに伝授するのをいとわないのだ。ジュニア会員の定員は100名。入会希望者が多いため入会するには2年待つ必要がある。費用負担が軽ければゴルフに積極的に取り組みたい若者は少なくないのだ。

子どもの姿のない日本のゴルフコース

 子どもたちの姿をまったく見かけない日本のゴルフコースの現状を根本から変える必要がある。JGAが音頭を取って、全国8つのゴルフ連盟と協議して、各クラブに「ジュニア会員制度」を創設してはどうだろうか。

 全国のゴルフクラブやパブリックコースが、スコットランドにならって「ジュニア会員制度」を本格的に導入すれば、若い意欲的なゴルファーの数を劇的に増やすことが可能ではないか。仮にJGA傘下の全国1522のゴルフクラブがそれぞれ100人のジュニア会員を受け入れるとすれば、15万人を超えるジュニアゴルファーが誕生する。ジュニア会員制度は個々のゴルフクラブにとっても大いに恩恵がある。ジュニア会員は、いずれ自分のゴルフクラブの正会員になってくれるのだ。

ガランGCでレッスンを受けるちびっこゴルファー

 多くのゴルフクラブの平均年齢は60代の後半で、しかも年々平均年齢は上がっている。若い世代が育っていない組織は弱体化するしかない。

 スコットランドでは住宅地の近くにコースがあり練習場を兼ねている。しかし、日本のゴルフコースは住宅地から遠いので、ジュニア育成には打ち放し練習場の協力が欠かせない。何しろ日本全国には2600カ所もの打ち放し練習場が存在するのだ。

 大阪府東大阪市にある「東大阪ゴルフセンター」は、16年前から「ジュニアゴルフ育成会」を立ち上げて、積極的にジュニアゴルファー育成に取り組んでいる。

 毎年、公開抽選で選ばれた小学校1年生から中学3年生の男女20名に対して、練習やレッスンにかかる費用は全て無料という破格の条件で、

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