スコットランドの自治・独立願望、EUへの懐疑がより鮮明に
2015年05月21日
ここ数年の英国の政治の流れにおいて、二つの大きな動きがある。一つはSNPの躍進に見られる、スコットランド独立への動きだ。
もう一つは膨れ上がる、反EU感情だ。これを政治組織化したのがUKIPである。
UKIPはイングランド地方、特に南部の支持基盤があり、SNPはスコットランドということで、北と南に無視できない政治勢力が育ってきた。
英国の反EU感情には根強いものがある。英仏海峡を隔てた大陸の欧州諸国とは何世紀にもわたり戦争で戦ってきた間柄である上に、心理的にも一定の距離感がある。大英帝国の過去の歴史から、「一国でもやっていける」という感覚が強い。
EUの一員となってからは、EUといえば官僚主義の典型として時には嫌悪、批判、冗談の対象となってきた。しかし、こうした感情は政治組織としてはまとまっていなかった。
UKIPの結党は1993年で、EUの創設を決めたマーストリヒト条約に反対する数人が形成した「反連邦リーグ」が前身だ。長い間、EU脱退は政界の主流からすれば想定外の選択肢であり、UKIPは一種の冗談のような存在だった。
2004年、EUが旧東欧諸国に門戸を広げると、多くの新EU市民が英国に入ってきた。学校・病院などの生活面(生徒数が急増、主治医の診察予約がとりにくくなる)、雇用面(新EU市民に「職を奪われる」)にその影響が及び、「何とかして欲しい」と思う国民の声を吸い上げる形で、UKIPは支持を拡大していった。
こうした経緯を考えれば、狭義の人種差別的(移民を差別する、という意味で)政党として片付けられない部分があるのは確かだ。生活面での不安感、不便さを根底にした国民の声をひろい、まとめあげる政党だったのだ。
昨年5月の欧州議会選挙では英国枠の中でUKIPは第1党となり、
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