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バター不足が迫る酪農政策の抜本的な見直しと縮小

役割を終えた政府による不足払い制度

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

  酪農政策の基本となっているのは、バターや脱脂粉乳向けの加工原料乳に対して、農家への保証乳価と乳業メーカーが支払う乳価との差を補てんする不足払い制度である。この対象となるのは、主として北海道で生産される生乳である。

広大な牧場で育てられる乳牛=北海道帯広市

 この制度は、北海道以外の他の都府県の酪農が縮小し、北海道が都府県に代わって飲用牛乳(市乳)供給地帯となるまでの暫定的な措置として、1965年に導入されたものだ。

 飲用牛乳向けと異なり、バターや脱脂粉乳向けの加工原料乳に乳業メーカーが支払える乳価は少ないので、規模の大きい北海道の生産者でも、その価格では再生産できない。

 このため、乳業メーカーが支払える乳価に、政府が不足払いを加算することによって、農家に一定の価格を保証し、北海道の酪農が再生産できるようにしたのである。

 価格関係は、

飲用向け乳価>不足払いを含めた農家への保証乳価>乳業メーカーが支払える乳価

である。

 この制度がなければ、

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