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東大総長が「朝食を食べて」と挨拶する時代

大学は「100円朝食」を提供する必要があるか?

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 全国の大学で広がりを見せている「100円朝食」。昨今は無料や1円なども登場している。今回はこの現象について経済学も活用しながら考察してみたい。

「朝、きちんと起きて朝食をしっかり食べる」

 東京大学の五神真総長は今年4月の入学式の挨拶の後半で、朝食について触れている。「規則正しい生活をする秘訣をお教えしましょう。まず、朝、きちんと起きて朝食をしっかり食べること、そして授業に出席することです」(挨拶の中心は「知のプロフェッショナル」)。これを受けて、東京大学駒場キャンパスの生協は5月18日から29日まで、午前9時までの90分間限定で、半額キャンペーンを実施した。
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/b_message27_01_j.html

100円朝食を食べる大阪芸術大の学生ら=大阪府河南町

 東大に限らず、このところ、早稲田大学、慶応義塾大学、駒澤大学、東京経済大学、立命館大学、大阪芸術大学、福岡大学など全国各地で、100円朝食を実施する大学が広がりを見せている。

 調べてみると、どうも、100円のフロンティアは2007年春に始めた、北海道江別市の酪農学園大学のようだ。欠食が多くなりがちな朝食を習慣づけるきっかけにすること、つまり、食生活の改善を目的としている。米はJA道央江別支所の協力、生協、江別市、後援会などが協賛のほか、教職員からの寄付で賄われたという(2008年5月19日の酪農学園大学トピック)。

 「健康キャンパス」をうたう早稲田大学は「現在わが国では急激な社会構造の変化に伴い、食生活の変化・運動不足による生活習慣病の増加、ストレスによる心の問題の増加などが大きな社会問題となっている」と指摘している。

 このほか、白鴎大学は1999年から、期間限定で1円朝食を実施しているという。大阪大学では4月、

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