団藤保晴(だんどう・やすはる) ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者
ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者。2008年まで「ブログ時評」(http://dando.exblog.jp/)を岩波書店の月刊誌「世界」に連載するなど、ネット上の言論活動を続ける。メディアとブログの相互作用をウオッチする「Blog vs. Media時評」のほか、「インターネットで読み解く!」(http://dandoweb.com/)を展開している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
共同体の安全を考えぬ国民性が響く
韓国の中東呼吸器症候群(MERS)流行が病院内感染の枠を超え、地域拡散の様相すら見せ始めている。この危機を生んだのは、能力の低い役人と医療関係者、そして共同体の安全を考えない手前勝手な国民性にあると見える。
患者が発生か滞在した病院の公表を渋っていた政府が7日に初めて明かした24病院は「ソウル、京畿道、忠清南道、大田、全羅北道」である。17ある第一級行政区画の東部5区までに広がっており、このほか離れた西南部の釜山で60代男性に陽性反応が出て2次最終判定にかけられている。《釜山で初のMERS感染者か…1次検査で陽性》は「陽性反応が出たこの男性は先月、京畿道富川市の斎場に行って来た後、MERS感染が疑われる症状を見せたという」と伝えた。病院での患者との接触に限られていた感染経路ではなくなっており、患者と確定すれば深刻な事態である。
最初の男性患者(68)が自らMERS検査を求めたのに、政府の疾病管理本部が「訪問国はバーレーンだけ」と聞いてMERS発生国でないとして一度拒否した。このため症状が出てから4病院を転々とするのだが、最も死者を出しているサウジアラビア訪問を最初から聞き出せなかった病院も、結果的に感染確認を2日遅らせた政府側もズサンすぎる。さらに感染力を甘く見て十分な防護措置をしなかったために大量に2次感染者を生んだ。9日現在、患者数は95人に増え、サウジアラビアに次いで国別で2位になってしまった。死者は7人。
イ・ジョングソウル大学病院グローバルセンター長・元疾病管理本部長が中央日報に寄稿した《【時論】MERS危機を育てたのは安全不感症=韓国》が厳しく叱責している。
《韓国の行政当局の初期対応が失敗だったのだろうか。韓国の中小病院の病院感染管理が問題なのか。韓国国民の安全文化が誤っているのか。この質問の相当部分が事実である。まず、最初の患者の足取り調査に失敗した。最初に症状が出て病院4カ所を回ってから申告された。そのため、その病院の接触者に対する逆追跡を速やかに行えず、