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今こそ戦争をしない経済学を

米国全面服従と弱肉強食思想の行き着く先

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

 憲法学者3人を参考人として招いた5月4日の衆議院憲法審査会で、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案に関して、参考人全員が「憲法違反」であるとの認識を表明した。

衆院憲法審査会に参考人として呼ばれ意見を述べる(奥から)長谷部恭男・早大教授、小林節・慶大名誉教授、笹田栄司・早大教授=2015年6月4日午前、飯塚晋一撮影

 参考人として出席したのは、自民党、公明党、次世代の党の各党が推薦した長谷部恭男早稲田大教授、民主党が推薦した小林節慶応大名誉教授、維新の党が推薦した笹田栄司早稲田大教授の3人だが、与党が推薦した長谷部教授も、「憲法違反」との認識を示したことで、野党の間に安全保障関連法案への反発が一層高まっている。

 自民党は、安全保障関連法案に理解のある憲法学者を探していたが、出席を断られたために長谷部教授の推薦に踏み切ったと報じられている。しかし、私が知る限り、今回の安全保障関連法案が完全に合憲だと主張している憲法学者はいない。

 そうしたなかで安倍総理が、相当な無理をして法案を成立させようとしていることは、間違いないだろう。そこまでして安倍総理が、安全保障関連法案にこだわるのは、一体なぜなのか。もちろん、アメリカと共同して、中国や北朝鮮からの脅威に立ち向かおうとしているのだろうけれど、私には、もう一つの理由があるように思えてならない。

 それは「経済」的な理由だ。

 アベノミクスの3本の矢のうち、1本目の金融緩和と2本目の財政出動は意味が分かるが、第3の成長戦略は

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