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派遣法改正、野党の対応のお粗末

「3年ルールを適用厳守させれば正社員が増える」はありえない

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 与党の派遣法改正案を巡って、野党側の対応が割れている。「同一労働同一賃金法案の提出了承を条件に採決に応じる」とした維新はともかく、民主党、共産党の対応はあまりにもお粗末すぎる。

労働者派遣法改正案の審議終了を宣言しようとする渡辺博道・衆院厚生労働委員長(中央)を、阻止しようと詰め寄る民主党議員ら=2015年6月12日午後、飯塚晋一撮影

 特に前与党であった民主党の対応を見ていると、もはやこの党は社会党に先祖返りしたのかと嘆かざるを得ないレベルだ。イデオロギー的に偏った報道も散見されるので、実務サイドからきっちりと事実確認しておこう。

 まず、今回の派遣法改正案には2つのポイントがある。

 (1)専門26業務と呼ばれる職種の区分けを廃止し、他の職種同様(派遣受け入れ後3年で直接雇用に切り替えを促す)3年ルールの適用対象とする

 (2)従来通り派遣受け入れの上限期間は3年とするが、派遣労働者を入れ替えることで、同じ職場で引き続き派遣労働者の受け入れを認める

 民主党や共産党の反対ロジックはシンプルで「派遣労働者さえ入れ替えれば企業は継続的な派遣労働者の受け入れが可能となってしまうから生涯派遣固定化法案だ」というものだ。ただ、そのロジックが成り立つためには「派遣上限を3年に規制すれば、企業は素直に正規雇用を含む直接雇用に切り替える」という確実な論拠が必須となる。だが、それはありえない話だ。

 まず、(1)の専門26業務区分の廃止に伴い、すでに雇い止めが頻発している事実が挙げられる。従来は3年ルールの対象外だったため10年以上の長期にわたって働けていたものが、直接雇用のリスクを回避するために現在進行形で雇い止めされている

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