対処方針が十分に議論されず、明示もされないまま続く交渉
2015年06月22日
TPPなどの貿易交渉権限をアメリカ連邦政府に与えるTPA法案の議会通過が、難航している。通商交渉の案件がこれほどアメリカで報道され、関心を集めることは、私の記憶では初めてである。
次期大統領選の有力候補であるヒラリー氏も、民主党の支持基盤である労働組合に配慮して、国務長官として熱心にTPP交渉を推進してきたことを忘れたかのような、態度をとっている。
TPA法案への反対の大きな理由は職が失われるというものだが、日本だけでなく、アメリカでも、TPP交渉は秘密交渉であると批判されている。ただし、政府間の交渉だけでなく、民間の交渉も含め、どの交渉にも秘密はつきものだ。どの国がどのような主張をしているのかが秘密にされるのは当然だ。
TPP反対派の国会議員は、アメリカの議員やそのスタッフは限定的だが交渉されている協定案文へのアクセスが認められているのに、日本の国会議員には一切認められていないのは不公平だと主張している。
しかし、守秘義務がかかるので、協定案文を見ても、交渉内容を公に批判できないというのでは、最終結果を見ることに比べて、大きな差があるというものではない。批判のために検討できる時間が増えると言うだけのことだ。
これまでの日豪などの二国間の自由貿易協定の交渉では、協定案文を見せろと言ったことはないのに、TPP交渉だけは見せろと言うのも奇妙な話である。
もっとも、交渉内容について明らかにできないにしても、どのような方針で日本政府が交渉に臨んでいるのかについては、国会で十分に議論し、それを交渉に反映できるはずだ。日本の場合、
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