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ギリシャ、ユーロ離脱ならGDP25%減少

欧州の重い課題、制度自体の見直しも必要に

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 ギリシャのユーロ離脱は、ギリシャ経済にとっては深刻な打撃であり、地政学リスクが高まる可能性もある。合理的に考えればギリシャと欧州連合(EU)が妥協を見出しEUが支援を継続する方向が望ましい。

 しかし、ギリシャのチプラス首相は、EU側に通知なく国民投票を決定し、さらにギリシャ国民に財政緊縮策への反対投票を促すなど異例の対応をとったことから、EU首脳の不信感は高まり亀裂は決定的となった。

 金融市場ではギリシャのEUからの離脱を意味する「Grexit 」という造語とともに、予想しないアクシデントで合意が破たんする「Graccident」という言葉が頻繁に使われていたが、今回の事態の展開はGraccidentといえる。

拡大

 一方で、世界の金融市場への影響はこれまでのところ限定的にみえる。国民投票の発表後、投資家はリスクオフの姿勢をとり、ユーロは下落、安全資産としての円が買われ、欧州周辺国の長期金利は上昇したが、スペインやイタリアの10年国債金利の上昇幅は小幅にとどまった。

 2012年の欧州債務危機時と比べて、民間投資家のギリシャ向け与信が減少しているほか、セーフティネットの強化によってユーロ圏の他の高債務国への波及リスクは抑制されている。アイルランドやポルトガルなどでEUの支援のもと経済調整が成功したこと、ユーロ圏の成長率が改善しつつあることも、市場の安心感につながっている。

 もっとも7月5日のギリシャの国民投票の結果、緊縮策が否認され、欧州中央銀行(ECB)の緊急流動性支援(ELA)が打ち切られ、ギリシャのユーロ離脱が実現した場合、金融市場がどのように反応するのかは、予断を許さない。また仮に緊縮策が国民によって承認されたとしても、ギリシャが債務不履行と銀行の破たんを回避できるのかは不透明だ。

投票結果がどちらにしても不安定な状況は続く

 5日の国民投票の結果は予測し難いが、仮に緊縮策に反対する投票が多数派であった場合、EU側が妥協を示して交渉が合意に達する可能性は相当に低いと思われる。EUからの支援が完全に打ち切られた場合、ギリシャがユーロを離脱する可能性は高まることになる。

 EU条約にはユーロからの離脱に関する規定はないが、 ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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