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中国株急落-露呈した官製市場の脆さ

年金など社会保障の遅れも要因

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 2014年後半から上昇を続けていた中国株が急落した。代表的な株価指数、上海総合指数の7月8日終値(3507.19ポイント)は、6月9日につけた年初来の終値ベース高値(5131.88ポイント)から31.7%(1624.69ポイント)と大幅に下落し、9日は反発して取引を終えた。

 感想を先に述べると、「官製市場」の脆さを痛感させられた。米国の年内利上げ方針、債務問題を抱えるギリシャの国民投票とも重なり、東京株式市場にも影響を与えた。

 中国は依然、原則として外国人投資家の短期資本移動を厳しく規制している。つまり米国の利上げ方針やギリシャ危機の再燃から、外国人投資家が中国株式市場から資金を引き揚げていることで、中国株が低迷したわけではないのだろう。

 ただ、人口減少社会で、日本銀行による量的緩和の金融政策以外になかなか有効な経済政策を提起できない日本にとって、中国人観光客の「爆買い」は、消費税増税の影響、インターネット通販に押され気味だった、百貨店、家電量販店など対面型の小売業や宿泊業の需要を支えていただけに、今年の株高の恩恵を受けていた個人投資家も、上海をはじめとする中国株式市場の急落を受けた東京市場の株価ボードやパソコン画面の赤ランプを呆然と見つめている。

 日本銀行は6月以降も、合計14回(7月8日現在)、上場株式投資信託(ETF)を買い入れている。また今年秋には、日本郵政グループの株式上場(政府保有株の売却)を控えており、日本政府も普段以上に株価の動向が気になるところだろう。

外国人投資家の存在は大きくない中国株式市場

 中国本土の主要市場である上海証券取引所は1990年12月に創設された。国内投資家用のA株市場と、

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